集中力は鍛えられる—1日10分の瞑想を2週間で、気が散る回数が減った研究
Focus / Research Digest

集中力は鍛えられる—1日10分の瞑想を2週間で、気が散る回数が減った研究

「気が散るのは性格」とあきらめていませんか。大学生48人を2週間追った実験では、1日10分の短い瞑想で気の散りが減り、読解テストと記憶力の成績が上がりました。少人数の研究ですが、今日から試せる練習に落とし込みます。

「集中しよう」と机に向かったのに、5分後にはSNSの通知や夕飯の献立を考えている。そんな自分を「集中力がないだけ」と責めていませんか。

でも、注意は生まれつきの才能ではなく、練習で鍛えられる力かもしれません。

大学生48人を2週間追った実験では、1日10分の短い瞑想で気の散りが減り、読解テストと記憶力の成績が上がりました。

2週間の短い訓練で、成績が変わった

カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究チーム(マイケル・ムラゼックら)は、2013年にこの問題を調べました。掲載誌は Psychological Science です。

チームは大学生48人を、くじ引きで2つのクラスに分けました。片方は瞑想(マインドフルネス)を学ぶクラス、もう片方は比較用の栄養学のクラスです。

どちらの授業も1回45分・週4回・2週間。瞑想クラスの人は、それに加えて1日10分の練習を自分でも続けました。

2週間後、瞑想クラスの人たちは、覚えておく力(作業記憶)を測るテストの成績が上がりました。GRE(アメリカの大学院に進むための共通テスト)の読解問題の正答率も伸びています。

その差は、GREでいえば平均で16パーセンタイル分の押し上げに相当したと報告されています。同時に、テスト中に「うわの空」になる回数も、どの測り方でも減っていました。

下の図が、2週間で変わった3つの点です。

大学生48人を瞑想クラスと栄養クラスに分け、瞑想クラスが1日10分の練習を2週間続けた結果、気が散る回数が減り、作業記憶が上がり、読解テストがGREで平均16パーセンタイル分に相当する伸びを示したことを表す図
図1: 短い練習でも、気の散りが減り、記憶と読解の成績がついてきた(当サイト作成)

小さな数字に見えて、テストの点なら1〜2問ぶんの差です。2週間という短い期間で、それが動いたことになります。

なぜ「気づいて戻す」だけで成績が動くのか

以前紹介した別の研究は、「人の心は起きている時間の半分近くさまよう」という観察でした。心がさまようこと自体は、誰にでもある自然な現象です。

今回の研究が新しいのは、その先です。短い訓練で「さまよいに気づいて戻す」練習を重ねると、気の散りそのものが減った。つまり、注意は鍛えられる側だと示した点です。

カギは作業記憶です。これは「今やることを頭の中に置いておく力」のこと。気が散ると、この一時置き場が別の考えで埋まり、目の前の作業に使える分が減ります。

瞑想は、注意が離れたことに気づいて今へ戻す、という往復の反復練習です。戻す回数が増えるほど、作業記憶が横取りされにくくなる。そういう筋道が考えられています。

ここは慎重に受け取ってください

心強い結果ですが、鵜呑みにはできません。参加者は48人と少なく、しかも全員が大学生です。あなたや職場の人に同じだけ効くとは限りません。

測ったのは2週間の訓練の直後で、半年後も続くのかは、この研究だけではわかりません。比べた相手も栄養学のクラスなので、瞑想以外の要素の影響を完全には切り分けられていません。

さらに、成績の伸びがはっきり出たのは、もともと気が散りやすかった人たちでした。効き方には個人差があります。

そして、これは集中力についての研究であって、病気の治療ではありません。気分の落ち込みや強い不安が続くときは、瞑想で片づけようとせず、専門家に相談してください。

今日から試す「10分の練習」

やることは、頭を空っぽにすることではありません。注意が離れたら、そのつど戻す。この往復を淡々と繰り返すだけです。

  1. スマホのタイマーを10分にセットし、静かに座れる場所を決める
  2. 目を閉じ、鼻を通る息の出入りだけに注意を向ける
  3. 考えごとに気づいたら、責めずに息へ注意を戻す
  4. 戻す作業を「失敗」ではなく「1回分の練習」と数える
  5. 通勤前や昼休みなど、毎日同じ時間に10分だけ続ける

ポイントは4つめです。気が散るのは失敗ではなく、戻す練習のチャンス。そう捉えると、続けやすくなります。

集中を仕組みで守る発想は集中の技術にまとめています。疲れて注意が切れたときは自然に触れて注意を回復する、こまめな休憩の効き目は短い休憩もあわせてどうぞ。

気が散るのは、あなたの弱さではありません。まずは今日、10分だけ、息に注意を向けるところから始めてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. スマホのタイマーを10分にセットし、静かに座れる場所を決める
  2. 目を閉じ、鼻を通る息の出入りだけに注意を向ける
  3. 考えごとに気づいたら、責めずに息へ注意を戻す
  4. 戻す作業を「失敗」ではなく「1回分の練習」と数える
  5. 通勤前や昼休みなど、毎日同じ時間に10分だけ続ける

出典・参考

  1. Mrazek, M. D., Franklin, M. S., Phillips, D. T., Baird, B., & Schooler, J. W. (2013) Mindfulness Training Improves Working Memory Capacity and GRE Performance While Reducing Mind Wandering. Psychological Science, 24(5), 776–781.(査読誌)library.scottbarrykaufman.com
  2. Association for Psychological Science: Brief Mindfulness Training May Boost Test Scores, Working Memory(発行学会による解説)psychologicalscience.org

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。