文章校正ツールはどれを選ぶ?——無料のEnnoから有料2本までを正直に比較
何度も読み返したのに、送った後で誤字や助詞の重なりに気づく。実はこれ、注意不足ではなく読み方の癖です。無料のEnno、有料の文賢・Just Right!7 Proを、料金と無料の質、得意な場面で正直に比較しました。
メールを送る直前、3回読み返した。それでも送った後に、「お世話になっております」の「お」が抜けているのに気づく。あるいは「が」が「は」のつもりで2つ続いていた。
自分を責めたくなりますが、これは注意力の問題ではありません。読むという行為そのものに、見逃しやすい仕組みが組み込まれているからです。
この記事では、その仕組みを踏まえたうえで、機械的にチェックしてくれる文章校正ツールを3つ比べます。無料のEnno、有料の文賢とJust Right!7 Proです。料金と「無料でどこまで使えるか」、得意な場面を正直に並べます。
見逃すのは、注意不足ではない
まず、なぜ読み返しても気づけないのかを押さえておきます。
1976年の実験で、「文中の”t”という文字をすべて丸で囲む」という課題が出されました。結果、他の単語に含まれる”t”より、頻繁に出てくる”the”という語に含まれる”t”のほうが、明らかに多く見逃されました。よく使う語ほど、1文字ずつではなく「ひとかたまりの形」として処理されるためです。
もっと最近の実験では、実際に文章を読んでもらいながら差し込んだミスの見逃し率を調べています。ふつうの名詞を2回続けて書いた場合の見逃しは9.8%でした。ところが「the」のような機能語を2回続けた場合は54.2%、「the」を1つ抜いた場合は32.5%が見逃されました。
下の図が、その差です。
見てのとおり、差は5倍を超えます。これは英語の”the”を対象にした実験結果です。
日本語の「て・に・を・は」にあたる助詞で、同じ数値が出ているわけではありません。ただ、意味の薄い機能語という点は共通しています。だから、同じように見逃されやすいと考えられます。「が」の重なりや「を」の抜けに何度も気づけないのは、性格ではなく読み方の癖かもしれません。
だからこそ、パターンで機械的に照合するツールに、その一手間を任せる意味があります。
3つを、無料の質で正直に比較
料金は執筆時点(2026年9月)の数値です。あとから変わることがあるので、使う前に各公式で確認してください。
| ツール | 料金 | 無料の質 | 使う場所 | 得意な場面 |
|---|---|---|---|---|
| Enno | 無料 | 完全無料・登録不要 | ブラウザ(Web) | 今すぐ1回、無料で確認したい |
| 文賢 | 月1,650円〜(税込・年契約) | 14日間無料トライアル(全機能) | ブラウザ(Web) | ブログ・SNSなど発信を続ける |
| Just Right!7 Pro | 51,700円(税込・買い切り) | 30日間の体験版(一部機能制限) | Windows専用ソフト(Word/Excel連携) | 会社の文書をまとめて大量に校正する |
3つとも、誤字・脱字や表記ゆれをチェックする役目は同じです。順に補足します。
今すぐ1回、無料で確かめるなら:Enno
いちばん手軽なのがこれです。会員登録も要りません。
Ennoは、文章を貼り付けるだけで誤字脱字やタイポを指摘してくれる無料ツールです。AIによる判定ではなく、蓄積したエラーのパターンと照合する方式のため、動きが安定しています。
チェックした文章はデータベースやログ、外部サイトに一切保存しないと公式に明記されています。送信前の1回確認にも使いやすい理由です。
フォーマルな文章やプレスリリース、理工系のソースコード入り文章にも対応します。まずはここから試すのが自然です。
ブログやSNSなど発信を続けるなら:文賢
書く量が多い人には、続けて使うことを前提にしたサービスが向きます。
文賢は、誤字脱字だけでなく、読みやすさや不快な表現、AIによる文章アシストまで含めた有料サービスです。個人向けのパーソナルプランは、1年契約なら月1,650円(税込)、1か月契約なら月1,980円(税込)。全プランに14日間の無料トライアルがあり、期間中はすべての機能を試せます。
毎週のように記事やSNS投稿を書く人なら、月額を払って使い続ける価値を判断しやすいはずです。
会社の文書をまとめて大量に校正するなら:Just Right!7 Pro
量が多い文書を一気にさばくなら、専用ソフトの出番です。
Just Right!7 Proは、パソコンにインストールして使う校正支援ソフトです。WordやExcelに組み込んで使え、公式では「A4レポート100枚を約10秒で校正」できるとされています。通常版は51,700円(税込)の買い切りで、サブスクではありません。
30日間の無料体験版もあります。「表記ルール指摘オプション」など一部の機能は体験版で使えませんが、誤字脱字や表記ゆれをチェックする主要機能は試せます。会社の文書を継続的に大量に扱う人向けの、本格的な1本です。
場面で選ぶ
3つとも役目は同じでも、向く場面が違います。自分に問う言葉は1つです。「どれくらいの量を、どれくらいの頻度で校正するか?」
名指しでまとめます。
- たまに1通のメールを送る前に確認したい → Enno(無料・登録不要)
- 毎週のように記事やSNSを書く → 文賢(月額・14日間お試し)
- 会社の文書を継続的にまとめて扱う → Just Right!7 Pro(買い切り・30日体験版)
迷ったら、まずEnnoで今の文章を1回試す。物足りなければ、書く頻度と量に応じて有料の2本を検討する順番が失敗しにくいです。
使う前に、2つだけ気をつける
便利な道具ですが、任せきりにしない点が2つあります。
1つは、文章がどこで処理されるかです。文賢はブラウザで使うWebサービスなので、文章はインターネット経由でやり取りされます。Just Right!はパソコンにインストールするソフトで、文章を手元で処理できます。社外に出せない文書を扱うなら、この違いを確認してから選んでください。
もう1つは、指摘は提案であって正解ではないことです。ツールが直せと言っても、文脈によっては元の言い回しのほうが正しい場合もあります。採否を決めるのは最後まで自分です。
まず、1回貼り付けてみる
読み返しても誤字が残るのは、性格や集中力の問題ではありません。読むという行為が、よく使う語をひとかたまりで処理するようにできているだけです。
だから、送信前のひと手間を、パターン照合が得意なツールに預けてしまえばいい。今日書いたメールや投稿を、まずはEnnoに貼り付けてみてください。所要は数十秒です。
書く手間そのものを減らしたい人は、ユーザー辞書に定型文を登録する方法も。AIに文章そのものを整えてもらいたいときは、AIに文章を添削してもらうコツが参考になります。ほかのツール活用の工夫はアプリ活用の歩き方にまとめています。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 今すぐ無料で試すなら、Ennoに文章を貼り付けてみる
- 会社の文書やレポートをまとめて扱うなら、Just Right!の30日体験版を試す
- ブログやSNSなど発信を続けるなら、文賢の14日間無料トライアルで相性を見る
- 指摘は「提案」として扱い、直すかどうかは自分で決める
- 社外秘の文章は、チェックの仕組みがブラウザ経由か手元のパソコンかを確認してから使う
Get Started各アプリの入手先
気になった1本は、公式ページからそのまま開けます。
出典・参考
- Healy, A. F. (1976) Detection errors on the word "the": Evidence for reading units larger than letters. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 2(2), 235-242.(文字「t」を探す課題で、他の単語より頻出の機能語「the」に含まれる「t」を見逃す割合が高いことを示した実験。読み手は語をひとかたまりの単位として処理するためと考察)doi.org
- Staub, A., Dodge, S. & Cohen, A. L. (2019) Failure to detect function word repetitions and omissions in reading: Are eye movements to blame? Psychonomic Bulletin & Review, 26(1), 340-346.(自然な読書中の見逃し率を計測。「the」を2回続けて挿入した場合は54.2%、「the」を抜いた場合は32.5%が見逃されたのに対し、ふつうの名詞を2回続けた場合の見逃しは9.8%だったと報告)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Enno(公式)— 日本語の文章の誤字脱字・タイポを検出する無料の校正ツール。ユーザー登録不要、AIチェックではなくパターン照合方式、チェックした文章はデータベースやログに一切保存しないと明記されていることを確認(2026年9月時点)enno.jp
- 文賢 料金プラン(公式・株式会社ウェブライダー)— パーソナルプラン(個人向け)は1年更新で月1,650円(税込)・1か月更新で月1,980円(税込)、ビジネスチームプランは1年更新で月2,750円(税込・1ユーザーあたり)。全プランに14日間の無料トライアル(全機能利用可)があることを確認(2026年9月時点)rider-store.jp
- Just Right!7 Pro 価格・購入(個人)(公式・株式会社ジャストシステム)— 通常版(ダウンロード版)は希望小売価格47,000円(税込51,700円)の買い切り、バージョンアップ版は25,200円(税込27,720円)であることを確認(2026年9月時点)justsystems.com
- Just Right! 体験版ダウンロード(公式・株式会社ジャストシステム)— 30日間の無料体験版があり、「表記ルール指摘オプション」など一部機能は制限されるが、誤字脱字・表記ゆれをチェックする主要機能は試用できることを確認(2026年9月時点)justsystems.com
- Just Right!7 Pro対応アプリケーションについて(公式サポート・株式会社ジャストシステム)— Microsoft Word(2024・2021・2019・2016)やMicrosoft Excel(2024・2021・2019・2016)にアドインとして連携できることを確認(更新日2025.04.24)support.justsystems.com
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。