1単元ずつ解くと解けるのに模試で手が止まる——本番で使える力になるのは「混ぜて解く」練習だった
同じ単元をまとめて解くとスラスラ解けるのに、模試や本番になると手が止まる。実力に変える鍵は、練習の量ではなく「順番」でした。数種類を混ぜて解く交互練習を、今日の勉強からできる手順にまとめました。
問題集を単元ごとに解くと、スラスラ解ける。なのに模試や実力テストになると、同じはずの問題で手が止まる。
練習ではできていたのに、なぜ本番で出てこないのでしょうか。
原因は勉強の量ではなく、並べ方かもしれません。同じ問題でも、1種類ずつまとめて解くより、数種類を混ぜて解くほうが、後日に残ります。
混ぜて解くと、後日のテストで差が出る
この並べ方を、交互練習(インターリービング)と呼びます。1単元ずつ固めて解くやり方は、ブロック練習といいます。
ローラーとテイラーという2人が、2007年に大学生で実験しました。見慣れない立体の体積を求める練習を、種類ごとにまとめて解くか、混ぜて解くかで分けます。1週間後のテストでは、混ぜて解いたグループのほうがはっきり高い点を取った、と報告されています。
同じグループは2015年に、中学1年生126人でも確かめました。3か月かけて同じ数学の問題を解かせ、並べ方だけを変えます。
結果は、混ぜて解いたほうがテストの点が高いというもの。差は、練習から30日後のテストで特に大きく開きました。
見てのとおり、解いた問題の量は上下でまったく同じです。違うのは順番だけ。それでも、後日に残る量が変わりました。
ただし、これは数学の練習での結果です。教材や人によって効き方に幅はあります。断定ではなく「そういう傾向がある」として受け取るのが妥当です。
1単元ずつ解くと「できた気」になる理由
なぜ、スラスラ解けたはずのブロック練習のほうが残らないのでしょうか。
1単元ずつ解くとき、私たちは解き方をもう知った状態で問題に入ります。「次も三平方の定理だ」と分かっているので、問題文を読み込まなくても手が動きます。
これは楽です。だから手ごたえもいい。でも本番のテストは、どの単元の問題かを教えてくれません。
つまりブロック練習では、いちばん難しい「どの解き方を使うかを自分で見抜く」部分を、練習していないのです。
模試で手が止まるのは、計算ができないからではありません。目の前の問題が「どの型か」を選ぶ練習が、抜けているからです。
混ぜて解くと、1問ごとに「これはどの解き方か」を考えざるをえません。その一手間こそが、本番で効いてきます。
今日から試す「混ぜて解く」練習
やり方は、いつもの問題集の解く順番を変えるだけです。新しい道具はいりません。
- 今日解く範囲から、2〜3種類の単元を選ぶ
- 1種類を解き続けず、3〜5問ごとに種類を切り替える
- 各問題は、解き始める前に「どの解き方か」を口に出して選ぶ
過去に習った単元を混ぜ込むと、自然と復習にもなります。この「間隔をあける」効果については、同じ勉強時間なら間隔をあけるほうが残るにまとめました。
混ぜると、その場では解くのが遅くなります。それでいいのです。遅さの正体は、あなたが解き方を選んでいる時間です。
うまくいかないとき・向いていない人
始めてすぐは、正答率が下がって不安になります。これは普通のことです。楽なブロック練習の手ごたえと比べると、混ぜた練習はきつく感じます。
ただし、習いたての単元にいきなり交互練習をぶつけても、うまくいきません。解き方をまだ覚えていない段階では、まず少しまとめて解いて手順に慣れる。型が入ってから混ぜる、の順にします。交互練習が効くのは、一つひとつの解き方をひととおり習ったあとだからです。
完全な初学者や、そもそも1つの解き方がまだ身についていない段階には向きません。この練習が効くのは、「知ってはいるのに本番で選べない」を越えたいときです。
思い出す力そのものを鍛えるやり方は、本を閉じて思い出す勉強法にまとめています。学び方を鍛える発想は、学びの柱でも扱っています。
いつもの問題集を、単元ごとから数種類混ぜに並べ替えるだけ。それだけで、同じ練習から本番で使える力が変わってきます。まずは今日の勉強で、2つの単元を交互に解くところから始めてみてください。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 今日の勉強で、2〜3単元を混ぜて交互に解く
- 同じ種類を解き続けず、3〜5問ごとに種類を変える
- 解く前に「どの解き方か」を自分で選んでから解く
- 習いたての単元だけ、少しまとめてから混ぜる
- 練習中の正答率が下がっても気にしない
出典・参考
- Rohrer, D., & Taylor, K. (2007) The shuffling of mathematics practice problems boosts learning. Instructional Science, 35(6), 481-498.uweb.cas.usf.edu
- Rohrer, D., Dedrick, R. F., & Stershic, S. (2015) Interleaved practice improves mathematics learning. Journal of Educational Psychology, 107(3), 900-908.files.eric.ed.gov
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。