一夜漬けした内容が翌週には消えているのはなぜか——同じ勉強時間なら「間隔をあける」ほうが残る
詰め込んで覚えた内容が、翌週にはごっそり抜けている。記憶を長く残す鍵は勉強の量ではなく、復習の「間隔」でした。317の実験を集めた研究をもとに、同じ勉強時間で忘れにくくする間隔の空け方を、今日から試せる手順にまとめました。
テスト前夜に一気に詰め込んで、なんとか乗り切る。手ごたえはあったのに、1週間もするとごっそり抜けている。
机に向かった時間は足りているはずなのに、なぜ残らないのでしょうか。
原因は勉強の量ではなく、詰め込むタイミングかもしれません。同じ時間をかけるなら、間隔をあけて分けたほうが、記憶は長く残ります。
まとめて4回より、分けて4回のほうが残る
セペダというグループが、2006年に大がかりな研究のまとめを発表しました。
過去の実験を集め、184本の論文にわたる317の実験・839件の結果を照らし合わせたものです。
調べたのは、同じ回数の学習を「続けて」やるか、「間隔をあけて」やるかで、あとの記憶にどう差が出るか。
結果は一貫していました。間隔をあけて学習したほうが、まとめて学習するより、あとのテストの成績が良い傾向があった、と報告されています。これは分散学習(spacing effect)と呼ばれています。
ここで気をつけたいのは、これが多くの実験を平均した傾向だという点です。教材や人によって効き方には幅があり、断定ではなく「そういう傾向がある」として受け取るのが妥当です。
図のように、勉強の合計時間が同じでも、1日にまとめるか数日に分けるかで残り方が変わります。
ちょうどいい間隔は「いつ思い出したいか」で決まる
では、どのくらい間隔をあければいいのでしょうか。
同じセペダらが2008年に行った実験が、目安をくれます。1,350人以上に一連の事実を覚えてもらい、復習までの間隔と、最終テストまでの期間を変えて成績を比べました。
分かったのは、ちょうどいい復習間隔が「最終テストまでの期間」によって変わることでした。
数週間後にテストがあるなら、最適な間隔はその期間の約2割。1年後まで残したいなら、約5%まで縮む、と報告されています。
割合だけ見ると縮みますが、日数にすると間隔はむしろ伸びます。長く覚えておきたいものほど、復習と復習の間を広くとる、ということです。
ざっくりした目安にすると、こうなります。1週間後の試験なら1〜2日おき。1ヶ月後なら1週間おき。半年から1年先まで残したいなら2〜4週間おき。
今日から試す「間隔をあけた復習」
やり方は、予定表に復習日を先に入れておくだけです。道具もいりません。
- 新しく学んだ日に、次の復習日をカレンダーへ入れる(まずは1〜2日後)
- 2回目以降は、思い出せた手ごたえがあるほど、次の間隔を広げる(数日おき→1週間おき)
- 長く覚えておきたいなら、後半の間隔を2〜4週間まで広げる
ポイントは、忘れかけたころに復習することです。すらすら思い出せるうちにやると、間隔が近すぎて手ごたえが薄くなります。
間隔をあけると、途中で少し忘れます。それでいいのです。思い出そうともがくこと自体が、記憶を固めます。
その「思い出す」練習のコツは、本を閉じて思い出す勉強法にまとめました。学び方そのものを鍛える発想は、学びの柱でも扱っています。
一夜漬けの時間を、同じ量のまま数日に散らすだけ。それだけで、同じ勉強から残るものが変わってきます。まずは今日覚えたことの復習日を、1つカレンダーに書き込むところから始めてみてください。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 新しく学んだ日に、次の復習日をカレンダーへ入れる(まずは1〜2日後)
- 2回目以降は少しずつ間隔を広げる(数日おき→1週間おき→2〜4週間おき)
- 覚えておきたい期間が長いほど、後半の間隔を広くとる
- 復習は「読み返す」より「本を閉じて思い出す」でやる
出典・参考
- Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006) Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354-380.escholarship.org
- Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008) Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095-1102.escholarship.org
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。