午後の眠気は10〜20分の昼寝で立て直す—短い昼寝の使い方
Health / Research Digest

午後の眠気は10〜20分の昼寝で立て直す—短い昼寝の使い方

昼食のあと、午後の会議で猛烈に眠い。10〜20分の短い昼寝で午後の眠気と集中を立て直しやすいと研究は報告しています。長すぎる昼寝が逆効果になる理由と、昼休みでの試し方を、限界も添えてまとめました。

昼食を食べたあと、午後いちばんの会議で猛烈に眠くなる。まぶたが重く、話が頭を素通りしていく。コーヒーを足しても、ぼんやりは晴れない。そんな午後はないでしょうか。

眠気を気合いで押し返そうとすると、かえって時間だけが過ぎていきます。ここで手がかりになるのが、昼休みの「短い昼寝」です。

10〜20分の昼寝が午後を立て直す

短い昼寝の研究として有名なのが、NASAが長距離便のパイロットを調べたものです。飛行中に40分の休息時間を設けたところ、乗員は平均で26分ほど眠り、寝つくまでの時間は6分弱でした。

この短い仮眠をとった側のほうが、着陸の局面まで覚醒度と作業の成績が保たれた、と報告されています。ただし対象は21人と少なく、睡眠が足りていないパイロットという特殊な状況での結果です。

では、何分がちょうどよいのでしょうか。健康な人で昼寝の長さを比べた2006年の研究(12人)が、手がかりになります。

この研究では、5分・10分・20分・30分の昼寝と、昼寝なしを比べました。もっとも回復に役立ったのは10分の昼寝で、その効果はおよそ2時間半つづいた、と報告されています。

一方で30分の昼寝では、目が覚めた直後に一時的にぼんやりする時間が見られました。深い眠りに入ってから起こされると出やすい「睡眠慣性」です。人数の少ない研究なので言い切りはできませんが、長ければよいわけではない、という傾向がうかがえます。

下の図が、昼寝の長さと目覚めのスッキリ感のおおまかな関係です。

横軸に昼寝の長さ、縦軸に目覚め直後のスッキリ感をとった曲線。数分では弱く、10〜20分でいちばん高くなり、30分を超えると一度ぼんやり(睡眠慣性)して落ち込む傾向を示す模式図
図1: スッキリ帯は10〜20分。長く寝ると一度ぼんやりしやすい(当サイト作成・短時間仮眠研究の傾向を模式化)

見てのとおり、ねらい目は10〜20分。深く眠り込む前に切り上げるのがコツです。

昼休みにどう入れるか

日本の昼休みは45〜60分が多く、この短い昼寝とは相性がいい時間です。特別な準備も要りません。

とるなら午後の早い時間がよいとされます。昼食のあと、眠気が来る前や来はじめに、10〜20分だけ目を閉じる。夕方に近い時間は避けます。

在宅なら椅子を少し倒す、ソファに浅くもたれる。オフィスなら休憩室や自席で、机に伏せる程度でかまいません。完全に横にならなくても、体を休める姿勢で十分です。

大事なのは、必ずアラームをセットしてから目を閉じること。図の「ぼんやり帯」に入らないための、いちばん簡単な安全策です。

昼休みの立て直し方は、昼寝だけではありません。眠気より頭の重さが気になる日は、自然にふれると注意力が回復するで紹介した、近所の緑を歩く方法もあります。その日の状態で使い分けてください。

今日から試す手順

手順はシンプルです。

  1. 昼食を早めに済ませ、昼休みの後半に10〜20分の時間をつくる
  2. スマホのタイマーを15分ほどにセットする(寝つく数分を見込む)
  3. 机やソファで少し体を倒し、目を閉じる。眠れなくても、目を閉じて休むだけでよい
  4. アラームで起きたら、明るい場所で数分過ごし、軽く体を動かして頭を切り替える

まずは今日の昼、10分だけ試すところから始めてみてください。

向いていない人・注意したいこと

まず、夜の寝つきが悪い人・不眠がある人には向きません。昼に眠ると、夜の眠気が減って寝つきがさらに遅くなることがあるからです。この場合は昼寝を控えるか、ごく短くし、遅い時間は避けてください。

持病がある人や、睡眠そのものに不安がある人も別です。昼寝の可否は状態によって変わるので、自己判断せず、かかりつけの医師など専門家に相談してください。

効果は平均としての傾向で、個人差があります。合う長さも人によって違うので、10〜20分の範囲で自分に合うところを探る、くらいに考えてください。

「目覚めにカフェインが効き始めるよう、昼寝の前にコーヒーを飲む」という考え方もあります。試すのは自由ですが、カフェインが合わない人や、夜まで残って睡眠を妨げる人もいます。合わないと感じたら、やめてください。

そして、毎日の強い眠気が昼寝でも変わらない、あるいは日常に支障が出るほど続くなら、それは休息で片づく話ではないかもしれません。無理に自分で対処せず、医療機関への相談を先にしてください。健康まわりの整え方をもう少し広く知りたい方は、健康の歩き方もあわせてどうぞ。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 昼寝は10〜20分で切り上げる。スマホのアラームやタイマーを必ずセットしてから目を閉じる
  2. とるなら午後の早い時間(昼食後〜15時ごろまで)。夕方に近い時間の昼寝は避ける
  3. 机やソファで、少しだけ体を倒す姿勢でよい。完全に横にならなくてもかまわない
  4. 起きたら日の光や明るい場所で数分過ごし、体を動かして頭を切り替える
  5. 夜の寝つきが悪い人・睡眠に不安がある人は無理に取り入れず、続くつらさは医療機関に相談する

出典・参考

  1. Rosekind, M. R. et al. (1994) Crew Factors in Flight Operations IX: Effects of Planned Cockpit Rest on Crew Performance and Alertness in Long-Haul Operations. NASA Technical Memorandum 108839.ntrs.nasa.gov
  2. Brooks, A. & Lack, L. (2006) A Brief Afternoon Nap Following Nocturnal Sleep Restriction: Which Nap Duration is Most Recuperative? Sleep, 29(6), 831–840.academic.oup.com

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。