しっかり寝ても疲れが取れないのはなぜか——睡眠は「長さ」だけでなく「規則正しさ」が効く
平日は寝不足で、休日に昼まで寝だめ。時間はそれなりに取っているのに、疲れが抜けない。6万人・7万人規模の追跡研究では、睡眠は「長さ」だけでなく「毎日同じ時刻に寝起きする規則正しさ」が健康と関わっていました。相関の範囲を確かめつつ、今日から時刻をそろえる手順にまとめました。
平日は寝る時間を削り、休日に昼まで寝て取り返す。
時間はそれなりに取っているつもりなのに、月曜になっても疲れが抜けない。
もしかすると、足りていないのは睡眠の「長さ」ではなく「規則正しさ」かもしれません。
近年の大規模な研究では、何時間眠るかと同じか、それ以上に、毎日同じ時刻に寝起きしているかが、健康と関わっていました。
睡眠は「長さ」より「規則正しさ」が死亡リスクをよく予測した
研究チームが2024年に、イギリスの大規模データを調べました。
対象は約6万1千人、平均62.8歳。手首につけた加速度計で、7日間の睡眠と覚醒のパターンを記録しています。
そこから「睡眠規則性指標」(毎日の寝起きのパターンがどれだけ一致しているかを0〜100で表す数値。100が完全に規則的)を計算し、その後の健康を平均6.3年ほど追跡しました。
分かったのは、寝起きの時刻がそろっている人ほど、その後に亡くなるリスクが低い傾向があったことです。
最も規則的なグループは、最も不規則なグループに比べて、全体の死亡リスクが2〜5割ほど低いという結果でした。
興味深いのは、この「規則正しさ」のほうが、睡眠の「長さ」よりも死亡リスクをうまく予測していた点です。
下の図は、寝起きの時刻がそろった1週間と、ばらついた1週間を並べたものです。
研究が見ていたのは、この形の違いです。上のようにそろっているか、下のようにばらついているか、という差でした。
ただし、これは観察研究です。規則的な人はもともと健康的な生活だった可能性もあり、著者自身「これは相関であって、因果を示すものではない」と明記しています。
測定は1週間分のスナップショットで、対象が高齢者に偏る点にも注意が要ります。
「休日の寝だめ」で取り返せるのか
もう1つ、心臓に注目した研究があります。
2025年に発表されたもので、同じイギリスのデータから約7万2千人を、平均7.8年ほど追跡しました。
睡眠が不規則なグループは、規則的なグループに比べて、心筋梗塞や脳卒中のような重い心血管の出来事が起こる割合が、約26%高いという結果でした。
ここで気になるのが「寝不足でも、たっぷり眠れば時刻の乱れは帳消しにできるのか」という点です。
この研究では、睡眠時間が十分だと、“中くらい”の不規則さのリスクはほぼ相殺されていました。
ただし”強い”不規則さは、長く眠っても相殺しきれなかった、と報告されています。
つまり、多少のばらつきは睡眠時間でカバーできても、平日と休日で寝起きが大きくずれるような乱れは、寝だめだけでは埋めきれない可能性があります。
この研究も観察研究です。著者は「因果を確かめるにはランダム化した試験が必要だ」と述べています。数字は誇張せず、あくまで「そういう傾向が見えた」として受け取るのが妥当です。
今日からできる「寝る・起きる時刻をそろえる」
やることは、時刻を毎日そろえるだけです。まず取りかかりやすいのは、起きる時刻を先に固定することです。
- 起床時刻を1つに決める。休日も、平日との差は1時間以内にとどめる
- 就寝時刻もできる範囲でそろえる。眠くない夜も、布団に入る時間を毎日近づける
- 休日の寝だめは控えめに。眠り足りない日は、夜に長く寝るより昼の短い仮眠でおぎなう
起床を先に固定する理由はシンプルです。寝る時刻は眠気しだいでずれやすい一方、起きる時刻は自分で決められるからです。
朝がそろえば、夜の眠気も少しずつそろってきます。
眠り足りない日を昼寝でおぎなうやり方は、午後の短い昼寝の使い方にまとめました。体をいたわる小さな習慣は、健康の柱でも扱っています。
なお、ここで紹介したのは研究から見えた傾向で、医療的なアドバイスではありません。眠りの悩みが深いときや、時刻をそろえても疲れが抜けないときは、自己流で抱え込まず、医療機関に相談してみてください。
一度にすべてを整える必要はありません。今夜は、明日の起床時刻をいつもと同じにする——まずはそこから始めてみてください。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 起床時刻を先に1つ決める。休日も、平日との差は1時間以内にとどめる
- 就寝時刻もできる範囲でそろえる。眠くない夜も、布団に入る時間を毎日近づける
- 休日の寝だめは控えめに。足りない睡眠は、夜長く寝るより昼の短い仮眠でおぎなう
- 夜ふかしした翌朝も、起きる時刻はずらさない。足りない分は早寝で取り戻す
出典・参考
- Windred, D. P., Burns, A. C., Lane, J. M., Saxena, R., Rutter, M. K., Cain, S. W., & Phillips, A. J. K. (2024) Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration: A prospective cohort study. SLEEP, 47(1), zsad253.pmc.ncbi.nlm.nih.gov
- Chaput, J. P., et al. (2025) Sleep regularity and major adverse cardiovascular events: a device-based prospective study in 72,269 UK adults. Journal of Epidemiology and Community Health, 79(4), 257-264.pmc.ncbi.nlm.nih.gov
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。