寝不足だと食べ過ぎる?——睡眠を延ばすと食事量が自然に減った
Health / Research Digest

寝不足だと食べ過ぎる?——睡眠を延ばすと食事量が自然に減った

夜更かしの翌日、なぜか間食や甘いものに手が伸びる。意志が弱いせいだと思いがちです。睡眠が短めの成人に少し長く寝てもらった実験では、我慢していないのに食べる量が1日あたり約270kcal減りました。寝不足と食べ過ぎのつながりを、無理なく見直すヒントをまとめました。

夜更かしをした翌日、なぜか間食や甘いものに手が伸びる。そんな経験はないでしょうか。

つい食べてしまうのは、意志が弱いからだと思いがちです。でも、原因は眠りの短さかもしれません。睡眠が短めの人が少し長く寝たら、我慢していないのに食べる量が減った。そんな実験結果があります。

睡眠を延ばしたら、食べる量が減った

睡眠が短めの成人80人に協力してもらった実験です。参加者は、ふだんの睡眠が6時間半より短く、体重がやや多めの21〜40歳の人たちでした。

参加者は、くじ引きのように無作為に2つのグループへ分けられました。片方は、眠りを長くするための短いアドバイスを受けます。もう片方は、いつもどおりの生活を続けました。この分け方なら、グループ間の違いが睡眠のせいかどうかを確かめやすくなります。

2週間後、アドバイスを受けたグループは、睡眠がおよそ1.2時間延びていました。そして1日に食べた量は、エネルギーに換算して、いつもどおりのグループより約270kcal少なくなっていました。

我慢していないのに、食欲が落ち着いた

おもしろいのは、参加者が「食事を減らそう」とがんばったわけではないところです。

食べる量は減りましたが、体を動かして消費したエネルギーは、2つのグループで変わりませんでした。運動量はそのままで、食べる量だけが自然に減ったのです。

しかも、睡眠がより長く延びた人ほど、食べる量がよく減っていました。眠りと食欲には、何かつながりがありそうです。

下の図が、2つのグループの違いです。

睡眠を延ばしたグループといつもどおりのグループの、1日に食べた量の差

食べた量は、本人の記録ではなく、別の方法で測られました。体に入れた特別な水がどれだけ減るかを調べると、使ったエネルギーがわかります。研究では、それと体重や体組成の変化を合わせて、食べた量を計算しました。

自分で記録すると、つい少なめに書いてしまいがちです。でも、この方法ならそうした影響を受けにくくなります。

「やせる方法」として受け取らない

ここで、わかったことの限界も書いておきます。

この実験でわかったのは、睡眠が短めの人が眠りを延ばすと、2週間は食べる量が減った、ということだけです。体重にも小さな差は出ましたが、期間は2週間と短く、「寝ればやせる」と言える結果ではありません。

対象は、体重がやや多めで睡眠が足りていない21〜40歳の人に限られます。すでに十分眠れている人が、さらに長く寝ても同じようになるとは限りません。眠りが足りているなら、無理に長く寝る必要はありません。

まず15分だけ早く布団へ

それでも、寝不足の日に食べ過ぎてしまう感覚に心当たりがあるなら、試す価値はあります。

いきなり1時間延ばすのは大変です。まずは就寝を15分だけ早めてみてください。寝る前に見る動画を1本減らすだけでも、眠る時間は少し延びるかもしれません。翌日の間食がどう変わるか、我慢せずに見てみるだけで十分です。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. ふだんの就寝時刻を15分だけ早めてみる(まずは今夜1日から)
  2. 寝る前のスマホやテレビを、いつもより1本分だけ早く切る
  3. 翌日の間食が減ったかどうか、無理に我慢せず様子を見る
  4. 睡眠が足りている人は、無理に長く寝ようとしなくてよい

出典・参考

  1. Tasali E, Wroblewski K, Kahn E, Kilkus J, Schoeller DA. (2022) Effect of Sleep Extension on Objectively Assessed Energy Intake Among Adults With Overweight in Real-life Settings: A Randomized Clinical Trial. JAMA Internal Medicine, 182(4), 365-374.(PMC全文)pmc.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。