AIの答えが専門的すぎるなら——「誰に向けて」を伝えると分かりやすくなる
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AIの答えが専門的すぎるなら——「誰に向けて」を伝えると分かりやすくなる

ChatGPTやClaudeの答えが、専門用語だらけで難しい。逆に当たり前すぎて仕事に使えない。そんなときは「誰に向けて・どんなトーンで」書くかを一言足すと、ちょうどいい答えに近づきます。ChatGPT・Claude公式ガイドをもとに、そのまま使える指定の例をまとめました。

ChatGPTに専門的なことを聞いたら、返ってきたのは専門用語だらけの説明。読んでも頭に入りません。

逆に「簡単に教えて」と頼むと、当たり前すぎて仕事には使えない答えが返る。

どちらも、AIに「誰が読むのか」を伝えていないのが原因かもしれません。

「誰に向けて」を伝えると、答えの高さが変わる

AIは、その答えを誰が読むのかを知りません。

だから、あてずっぽうで「一般的な相手」を想定します。少し専門寄りの、平均的な説明。それがちょうどよく届く場面は、実はそう多くありません。

そこで効くのが、読み手の指定です。「非エンジニアの上司向けに」「初めての顧客に」「小学生の子どもに」。宛先を先に伝えると、説明の高さがそこに合います。

これは公式ガイドも認めるやり方です。ChatGPTを作るOpenAIの公式ヘルプは、頼むときに「何を・誰のために・なぜ」を決めるとよい、と書いています。トーンも「丁寧に」「やわらかく」のような言葉で指定できる、としています。

Claudeを作るAnthropicの公式ガイドも、たった一文の指定でAIのふるまいとトーンが寄る、と説明しています。

どちらも、執筆時点(2026年7月)に公開されている公式ガイドの内容です。

「役割」「形」との違い

似た指定に、役割と形があります。3つは別ものです。

  • 役割は、AIを「誰にするか」。話し手の設定です → AIに役割を与える
  • は、答えを「どの形にするか」。表・箇条書き・文字数です → 答えの形を指定する
  • 宛先は、答えを「誰に届けるか」。この記事の話です

話し手・形・読み手。この3つはぶつからず、重ねて使えます。今回は「読み手」を足すだけで、伝わりやすさが変わります。

同じ質問でも、宛先を決めると答えは変わる

下の図が、読み手を伝えないときと、先に伝えたときの違いです。

AIへの2つの頼み方を左右で比べた図。左は読み手を伝えない依頼で、答えが専門用語だらけで読めない、または当たり前すぎて薄くなり、読み手に高さが合わず手直しになる。右は「ITに詳しくない社員向けに、専門用語は使わずに」と読み手を伝える依頼で、その人に届く言葉で返り、ちょうどいい高さでそのまま渡せる。
図: 宛先を決めると、答えは読む人の高さに合う(当サイト作成)

見てのとおり、変わるのは中身ではなく「読む人に高さが合うか」です。

同じ用事で、宛先なしと宛先ありを比べてみます。

Before:「二段階認証の導入をお願いする社内文章を書いて」

これだと、こんな答えが返りがちです。

多要素認証(MFA)の導入により、クレデンシャル漏洩やフィッシングへの耐性が向上し……

社内の大半には、この時点で伝わりません。

After:「ITに詳しくない社員向けに、二段階認証をお願いする文章を書いて。専門用語は使わず、なぜ必要かが伝わるように」

パスワードだけだと、盗まれたとき誰でも入れてしまいます。もう一つ、スマホでの確認を足すだけで安全になります……

同じ依頼でも、後者はそのまま社内に流せます。違いは、読み手を一言足したかどうかだけです。

日本の実務でよく効く3つの宛先

宛先は、身近な相手を具体的に思い浮かべると外しません。

  1. 社内・上司向け:「専門用語を使わず、非エンジニアの部長にも分かるように」
  2. 社外・顧客向け:「初めての取引先に、丁寧でやわらかいトーンで」
  3. 家族・子ども向け:「小学生にも分かるように、たとえ話を一つ入れて」

顧客メールなら、宛先とトーンをセットで渡すと角が立ちません。子どもへの説明なら、たとえ話の指定が効きます。

まずは次の依頼で、末尾に「誰向けか」を一言だけ足してください。

うまくいかないとき

宛先が「みんな」だと、ぼやける

「みんなに分かるように」では、指定が弱いです。AIはまた平均的な相手を想定します。

読み手は、一人に絞るほど届きます。「入社1年目の後輩に」「70代の親に」のように、顔が浮かぶ相手を選んでください。

難しく返ってきたら、そのまま言い直す

一度で決まらなくても大丈夫です。返ってきた答えが硬ければ、その場で言い直せます。

「今の説明を、小学生にも分かるように書き直して」。この一言で、たいてい高さが下がります。一度で決めようとせず、返事を見て少しずつ直すのがコツです。

読み手を変えても、事実は変わらない

一つ、勘違いしやすい点があります。宛先の指定は、答えの「伝わりやすさ」を整える手です。中身が正しくなるわけではありません。

「小学生にも分かるように」と頼むと、平易にはなります。けれど、そこに含まれる数字や事実が合っているかは別の話です。大事な情報は、宛先に関係なく確かめてください。

なお、AIの答え方はモデルやバージョンで変わります。同じ指定でも返りが違ったら、言い方を少し調整してみてください。

向いていない場面もある

自分用のメモや下書きには、宛先の指定はいりません。読み手が自分なら、そのまま書かせたほうが早いです。

専門家どうしのやり取りも例外です。正確さと厳密さが要る場面で無理に平易化すると、大事なニュアンスが落ちることがあります。

最後に

AIの答えが難しすぎるとき、原因はAIの性能だけとは限りません。誰が読むのかを、伝えていないだけのことも多い。

先に決めるのは一つ。「誰に向けて・どんなトーンで」です。上司か、顧客か、子どもか。相手を一人思い浮かべて、末尾に足すだけです。

役割や形の指定と組み合わせると、さらに狙いに近づきます。AIを日々の仕事にどう取り入れるかは、AI活用の記事もどうぞ。

まずは次にAIへ頼むとき、末尾に「初めての人にも分かるように」と一言足すところから試してみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 頼む前に「誰が読むか」を一言決める(上司・顧客・子ども・自分)
  2. 読み手の知識レベルを添える(「専門用語なしで」「新人にも分かるように」)
  3. トーンを一語そえる(「丁寧に」「やわらかく」「端的に」)
  4. 難しく返ってきたら「小学生にも分かるように」と言い直しを頼む

出典・参考

  1. OpenAI「Prompt engineering best practices for ChatGPT」公式ヘルプ(依頼に『誰のためか=読み手』とトーンを添える指針を確認)help.openai.com
  2. Anthropic「Prompting best practices」Claude公式ガイド(役割の一文でふるまいとトーンが寄る/文体・伝え方の指定を確認)platform.claude.com

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。