昼間のデスクが暗いと集中できない——明るさを上げると午後の眠気が軽くなる
Focus / Research Digest

昼間のデスクが暗いと集中できない——明るさを上げると午後の眠気が軽くなる

午後になると頭がぼんやりして作業が進まない。原因は気合い不足ではなく、部屋やデスクが暗すぎることかもしれません。オフィスの実験では、明るさを上げると眠気が減り反応も速くなりました。日中の光を増やす手順を、夜との使い分けも添えてまとめました。

午後の2時、3時。会議もないのに、なぜか頭が回らない。資料の同じ行を目でなぞるだけで、中身が入ってこない。

これを「昼食のあとだから」「気合いが足りないから」で片づけていませんか。

原因のひとつは、もっと単純かもしれません。あなたのいる部屋が、思ったより暗いのです。

明るい光は、昼間でも眠気を減らした

2012年、オランダの研究チーム(Smolders氏ら)が、明るさと頭の働きの関係を調べました。

明るさの単位をルクスといいます。参加者は32人。目に届く光が200ルクスの部屋と、1000ルクスの部屋で、1時間ずつ作業してもらいました。朝に行った組と、午後に行った組があります。

200ルクスは、ふつうの室内によくある明るさ。1000ルクスは、その5倍です。

明るい部屋にいた人は、暗い部屋のときより「眠くない」「元気だ」と答えました。反応の速さを測るテストでも、ボタンを押すのが速くなっています。心拍の変化からも、体が目覚めている状態だと分かりました。

大事なのは、朝でも午後でも、眠気が減り、体が目覚めた状態になったことです。「昼下がりだから眠い」という状態を、明るさがある程度やわらげたのです。ただ、反応の速さの差は、朝の回や、1時間の終わりごろにいちばんはっきり出ました。

ただし32人の実験室での結果です。ちょうどいい明るさには個人差もあります。

身近な場所の明るさを、下の図で比べます。

屋内と屋外の明るさをルクスで比べた対数目盛りの図。ふつうの室内は約200ルクス、実験で眠気が減った明るさは約1000ルクスで室内の約5倍。屋外の日中は1万から10万ルクスと大きく離れており、屋内はもともと暗いことがわかる
図1: 屋内は、思っているより暗い(当サイト作成)

図のとおり、屋内は屋外よりずっと暗いのです。実験で眠気が減った1000ルクスでも、晴れた日の屋外(数万ルクス)の何十分の一です。

オフィスを明るくしたら、集中と気分も上がった

実際の職場で、数週間ためした研究もあります。

2008年、Viola氏らの研究チームは、オフィスの照明を青みの強い光に替えて、94人の会社員の様子を調べました。青みの強い光と、ふつうの白い光を、それぞれ数週間ずつ過ごし、その間の様子を比べています。

青みの強い光の期間には、「頭がすっきりする」「集中しやすい」と答える人が増えました。日中の眠気は減り、夕方の疲れも軽くなっています。気分も上向きでした。

実際のオフィスで数週間ためした結果なので、ふだんの働き方に近い条件です。ただし、変えたのは主に光の色です。明るさの効果とは別の話として読んでください。それでも、前の実験と同じく、白っぽく青みのある光が日中の頭の働きを助ける傾向は見られました。

ただし、効きめには幅がある

光を明るくすれば必ず冴える、とまでは言えません。

2018年、Souman氏らは、光と眠気・目覚めに関する68件の研究をまとめて調べました。その結果、白い光を明るくすると「頭がすっきりした」と答える人が多い一方、差が出なかった研究もありました。参加人数の少ない研究が多いため、「これで決まり」と言うのは早い、と研究チームは書いています。

つまり、明るさは集中を支える要素のひとつ。効き方には、人による違いも、場面による違いもあります。試して、自分に合うか確かめるのがいちばんです。

日中の屋内は、意外と暗くなりやすい

日中の暮らしには、光が足りなくなりやすい場面がいくつもあります。

  • 部屋の奥に机があり、窓から遠い在宅の作業スペース
  • 昼でもカーテンを引いたままの部屋
  • 電気代を気にして、日中は照明を消している部屋
  • 天井の照明だけで、手元が影になっているデスク

どれも「真っ暗」ではありません。だから、暗さが原因だと気づきにくい。

「眠い」「はかどらない」と感じたら、気合いの前に、まわりの明るさを疑ってみてください。

今日からできる、日中の明るさの整え方

特別な機材はいりません。今ある光を、日中に多めに使うだけです。

  1. 机を、窓ぎわか一番明るい場所へ。 日中の自然光は、屋内の照明よりずっと明るいものです。カーテンを開けて、窓の近くで作業しましょう。
  2. 眠くなったら、まず照明を明るく。 天井の照明をつける・明るさを上げる。コーヒーの前に、光を足してみる。
  3. 手元にデスクライトを1台。 天井の光だけだと手元は暗くなりがち。作業する場所の明るさを、1台で補います。
  4. 集中したい時間は、白っぽい光を。 電球色(オレンジ)より、昼白色〜昼光色(白〜青白い)のほうが、頭がすっきりしやすいとされています。
  5. 夜は逆に、暗めへ切り替える。 強い光は、夜に浴びると寝つきが遅れます。

まずは今日の午後、眠気を感じたときに、カーテンを開けて照明を1段明るくするところから試してください。

集中のための明るさは、日中に使いましょう。

環境で集中を守る話として、室温と集中の記事もどうぞ。集中を仕組みで支える方法は、集中・生産性まとめページでも紹介しています。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 日中の作業は、窓ぎわか一番明るい場所に机を置く
  2. 昼〜午後に眠くなったら、まず部屋とデスクの照明を明るくする
  3. 手元が暗いなら、デスクライトを1台足して明るさを底上げする
  4. 集中したい時間は、白っぽい昼白色〜昼光色の光を選ぶ
  5. 夜は逆に暗めに。強い光は寝つきを遅らせるので使い分ける

出典・参考

  1. Smolders, K. C. H. J., de Kort, Y. A. W., & Cluitmans, P. J. M. (2012) A higher illuminance induces alertness even during office hours: Findings on subjective measures, task performance and heart rate measures. Physiology & Behavior, 107(1), 7-16.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Viola, A. U., James, L. M., Schlangen, L. J. M., & Dijk, D. J. (2008) Blue-enriched white light in the workplace improves self-reported alertness, performance and sleep quality. Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 34(4), 297-306.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Souman, J. L., Tinga, A. M., te Pas, S. F., van Ee, R., & Vlaskamp, B. N. S. (2018) Acute alerting effects of light: A systematic literature review. Behavioural Brain Research, 337, 228-239.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。