室温は22℃前後に——暑すぎ・寒すぎは作業の成績を落とす
Focus / Research Digest

室温は22℃前後に——暑すぎ・寒すぎは作業の成績を落とす

午後になると頭が回らない。それは気合い不足ではなく、部屋が暑すぎ・寒すぎるせいかもしれません。オフィス作業をまとめた分析では室温22℃前後で成績が最も高く、30℃では約9%落ちていました。今日からできる室温の整え方をまとめました。

午後になると、なぜか作業がはかどらない。エアコンは効いているのに、頭がぼんやりする。

これは、やる気が切れたからとは限りません。

部屋の温度そのものが、作業の成績を静かに下げている可能性があります。

作業がはかどる室温は、22℃前後だった

Berkeley Lab(米ローレンス・バークレー国立研究所)のSeppänenらは、2006年、室温と事務作業の成績の関係をまとめました。

1970年から2004年までの24件の研究データを集めた分析です。文字入力・計算・コールセンターの対応時間など、約130の観測点が使われています。

分かったのは、きれいな山なりの関係でした。

成績が最も高いのは室温22℃前後。そこから暑くなるほど下がり、30℃では最も高いときの約91%——つまり約9%落ちていました。

寒い側も同じ向きです。快適な帯より冷えるほど、成績はじわりと下がっていきます。

下の図が、その関係です。

室温と事務作業の相対パフォーマンスの関係を示す折れ線グラフ。横軸は室温15から30度、縦軸は相対パフォーマンス85から100パーセント。曲線は山なりで、21から22度で100パーセントの頂点になり、そこから暑くても寒くても下がる。30度では約91パーセントまで下がり、寒い側でも同じように下がる
図1: 快適な範囲から離れるほど、成績はゆるやかに下がる(当サイト作成)

見てのとおり、頂点は22℃あたりの狭い帯です。快適な範囲から1℃離れるごとに、1%ほどの目減り、と考えると分かりやすい。

ただし、これは多くの研究を平均した傾向です。作業の種類や個人差で、ちょうどいい温度はずれます。暑がり・寒がりの差もあります。

猛暑の部屋では、計算も判断も遅くなった

実際の暑さで確かめた研究もあります。

Cedeño-Laurentらは2018年、医学誌 PLOS Medicine に、猛暑のときの学生の頭の働きを調べた結果を発表しました。

対象は大学生44人。冷房のある寮(24人)と、冷房のない古い寮(20人)に分かれて住んでいました。

12日間のうち5日間が猛暑でした。この間、冷房なしの部屋は平均26.3℃、冷房ありは平均21.4℃です。

毎朝スマホで2つのテスト(色と文字を見分ける課題・簡単な足し引き)を受けてもらいました。

すると、冷房のない部屋の学生は、色と文字を答えるテストで反応が13.4%遅くなっていました。

5℃ほどの室温差が、朝一番の頭の回転にはっきり出た形です。

こちらも44人・若い世代・寒い地域という限られた条件での結果で、著者も「そのまま一般化はできない」と断っています。

2つの研究に共通するのは、暑すぎる部屋は思考の足を引っぱる、という向きです。

「暑い・眠い」を、まず室温で疑う

わたしたちの日常には、室温が最適からずれやすい場面がそろっています。

  • 夏、電気代を気にしてエアコンを28℃設定にした部屋
  • 冬、足元だけ暖房で、上半身は肌寒い在宅の机
  • 西日の入る午後や、人の熱がこもった会議室
  • 空調が一律で、自分の席だけ暑い・寒いオフィス

どれも「耐えられない寒暑」ではありません。だからこそ、原因と気づきにくい。

頭が重い、眠い、決めきれない。そう感じたら、気合いの前に温度計を見てください。

なお、これは空気の「温度」の話です。窓を閉めきってこもる空気の質(CO2)は別の要因で、換気しないと頭がぼんやりするにまとめました。あわせて整えると効きます。

今日からできる、室温の整え方

特別な道具はいりません。目安の温度に寄せるだけです。

  1. まずエアコンの目標を22℃前後に。 夏の28℃・冬の18℃設定のままにせず、作業する時間だけ22〜24℃に寄せる
  2. 服で細かく調整する。 1枚羽織る・1枚脱ぐで体感を微調整。設定温度を大きく動かすより速い
  3. 一番暑い時間は、場所を変える。 西日の午後や真夏の昼は、涼しい部屋や図書館に移って作業する
  4. 寒すぎにも注意する。 手足が冷えて集中が切れるなら、暖房や膝掛けで温度を戻す

まずは今いる部屋の温度を測って、22℃からどれだけ離れているか確かめるところから始めてください。

集中は、根性より環境で守れます。時間帯による頭の波は冴える時間帯は人によって決まっているに、短い休みの入れ方は数分の休憩で集中は戻るにまとめました。

集中を仕組みで支える考え方は集中・生産性の歩き方にまとめています。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 作業する時間だけ、エアコンの目標を22℃前後に寄せる
  2. 頭が重い・眠いと感じたら、気合いより先に室温を確かめる
  3. 1枚羽織る・1枚脱ぐで、体感の暑さ寒さを細かく調整する
  4. 一番暑い午後は、涼しい部屋に移って作業する

出典・参考

  1. Seppänen, O., Fisk, W. J., & Lei, Q. H. (2006) Effect of Temperature on Task Performance in Office Environment. Lawrence Berkeley National Laboratory(LBNL-60946・DOE OSTI 全文).osti.gov
  2. Cedeño-Laurent, J. G., Williams, A., MacNaughton, P., Cao, X., Eitland, E., Spengler, J., & Allen, J. G. (2018) Reduced cognitive function during a heat wave among residents of non-air-conditioned buildings: An observational study of young adults in the summer of 2016. PLOS Medicine, 15(7), e1002605.journals.plos.org

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。