食物繊維は「1日25g」が目安——多く摂る人ほど病気になりにくかった
Health / Research Digest

食物繊維は「1日25g」が目安——多く摂る人ほど病気になりにくかった

体にいい食事を心がけても、食物繊維はつい足りなくなりがち。185件の研究をまとめた大規模な解析では、多く摂る人ほど死亡や病気のリスクが低い傾向でした。国の目標にも届かない現状と、今日あと数gを足す食べ方を、研究の範囲を確かめてまとめました。

朝はトーストとコーヒーだけ、昼はコンビニのパスタ、夜は白いごはんと肉。

体にいい食事を、それなりに心がけているつもり。

それでも、豆も、皮ごとの果物も、1日を振り返るとほとんど出てきていない。

じつは、多くの人が静かに足りていない栄養があります。食物繊維です。

たくさん摂っている人ほど、死亡や病気のリスクが低かった——そんな大きな研究があります。

食物繊維を多く摂る人ほど、病気が少なかった

2019年、ニュージーランドの研究チームが、これまでの研究をまとめて分析しました。掲載誌は医学誌 The Lancet です。

集めたのは、185件の観察研究(のべ1億3500万人年ぶん)と、58件の介入試験(4635人)。40年ぶんの蓄積です。

いちばん食物繊維を多く摂るグループを、いちばん少ないグループと比べました。

多いグループは、あらゆる原因での死亡と、心臓・血管の病気での死亡が15〜30%低くなっていました。

心筋梗塞などの心臓病・脳卒中・2型糖尿病・大腸がんにかかる割合も、16〜24%低いという結果です。

恩恵がしっかり見えたのは、1日25〜29gのあたり。それより多く摂ると、さらにゆるやかに下がる傾向でした。

わかりやすい目安もあります。食物繊維が1日8g増えるごとに、死亡や病気の割合が5〜27%低い、という関係です。

ただし、注意点があります。

対象は健康な人が中心でした。著者らも、すでに病気のある人にそのまま当てはめることはできない、と断っています。

死亡やがんについては観察研究が中心です。「多く食べる人は病気が少ない」という関連であって、食物繊維が原因だと証明したわけではありません。

誇張せず、「たしかな傾向がある」くらいの温度感で受け止めておくのがよさそうです。

日本人は、目標にも届いていない

では、どのくらい摂ればいいのでしょうか。

下の図が、研究の目安と、日本の今の位置です。

食物繊維の摂取量を0gから30gの数直線で示した図。日本の成人の平均は1日約18gで、研究で恩恵が大きかった量は25〜29g。その差は約7〜11gで、毎日あと一皿ぶんにあたる。国の目標量は男性20g・女性18g。食物繊維が1日8g増えるごとに、死亡や病気の関連リスクが5〜27%低い傾向が示された
図1: 平均と「研究の目安」の差は、毎日あと一皿ぶん(当サイト作成)

見てのとおり、研究の目安(25〜29g)まではまだ距離があります。

国が定める目標量は、成人男性で1日20g、女性で18g(食事摂取基準 2025年版)。研究の目安より、すでに控えめです。

それでも、日本人の平均は約18g。国の目標にも、実はまだ届いていません。

ほとんどの人にとって、当面のゴールは「あと数g」。研究の目安まででも、あと7〜11gほどです。

これは、毎日あと一皿ぶんの差でしかありません。

今日から「あと8g」を足す

やることは、引き算ではなく足し算です。減らす我慢はいりません。次のうち2つを足すだけで、8gに近づきます。

  1. 主食の一部を全粒に。白いごはんにもち麦や大麦を混ぜる。朝食をオートミールにする
  2. 豆を1品。納豆1パックで約3g。大豆やひよこ豆の水煮、豆の入ったスープでもいい
  3. 野菜・きのこ・海藻をもう一皿。具だくさんの味噌汁や、きのこのソテー、わかめの小鉢
  4. 果物を1つ、皮ごと。りんご1個で約3g。キウイやベリーでもいい

数を数える必要はありません。「主食を全粒に」「豆と果物を足す」——この2つだけで、多くの人は目標に近づきます。

コツは、一気に増やさないことです。

急にたくさん摂ると、お腹が張ったり、ガスがたまったりします。1〜2週間かけて少しずつ増やし、水分も一緒にとってください。

食物繊維は、ふだんの食品からとるのがおすすめです。食品なら、ほかの栄養も一緒に入ってきます。

食べる順番の工夫は食べる順番は「野菜が先」に、食べる速さの話は早食いをやめるにまとめています。体にやさしい食べ方は、健康の柱でもいくつか扱っています。

気をつけたい人・向いていないとき

次の人は、食物繊維を増やす前に主治医へ相談してください。

  • 潰瘍性大腸炎・クローン病・過敏性腸症候群など、腸の持病がある人
  • 腸が狭くなっていると言われた人、便通の薬や特定の薬を飲んでいる人
  • 妊娠中の人、なにか治療を受けている人

焦らず、医師と相談しながら自分のペースで進めてください。

ここで紹介したのは、あくまで研究から見えた傾向です。医療的なアドバイスではなく、病気を確実に防ぐ、治すという約束でもありません。

一度に食事を作り替える必要はありません。

次の一食で、ごはんにもち麦を混ぜる。豆を一品足す——まずは、そこから始めてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 1日の食物繊維は、まず国の目標(男性20g・女性18g)に届かせる
  2. 研究で差がはっきり出たのは1日25〜29g。慣れたらそこを目指す
  3. 白いごはんにもち麦や大麦を混ぜる/朝食をオートミールにする
  4. 納豆や豆を1品、野菜・きのこ・海藻をもう一皿、果物を皮ごと1つ
  5. 増やすときは1〜2週間かけて少しずつ、水分も一緒に。腸の持病・服薬中・妊娠中は主治医へ相談する

出典・参考

  1. Reynolds, A., Mann, J., Cummings, J., Winter, N., Mete, E., & Te Morenga, L. (2019) Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. The Lancet, 393(10170), 434-445.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維(しょくもつせんい)」— 食事摂取基準(2025年版)の目標量(成人男性20g・女性18g)、平均摂取量、健康効果を掲載kennet.mhlw.go.jp

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。