軽い脱水で集中が切れやすい——こまめな水分で午後の注意を保ちやすい
Health / Research Digest

軽い脱水で集中が切れやすい——こまめな水分で午後の注意を保ちやすい

午後になると、なぜか集中が続かない。眠気とは違う、ぼんやりした感じ。実は体の水分がわずかに減るだけで、注意や気分が下がりやすいことが、少人数の実験で報告されています。研究の範囲をそのまま確かめつつ、こまめに水分をとる小さな習慣にまとめました。

午後の会議中。画面の文字を目で追っているのに、頭に入ってこない。

眠いわけではないのに、注意がふっとそれる。

そんな時間帯に、意外な原因が隠れていることがあります。

体の水分が、少しだけ足りていない。のどの渇きをはっきり感じる前から、集中や気分は静かに下がり始めるようです。

水分が約1.5%減っただけで、注意と気分が下がった

きっかけになった実験を2つ紹介します。どちらも、体の水分をわずかに減らして、注意や気分がどう変わるかを調べたものです。

1つ目は、若い男性26人(平均20歳)を対象にした2011年の実験です。運動と、一部では利尿薬を使い、体重の約1.6%ぶんの水分を減らしました。同じ人が、脱水の条件と、水分を保った条件を、日を変えて試しています。

その結果、注意力を測るテストでミスが増え、記憶を一時的に保つ課題の反応も遅くなりました。安静時には、疲労感と、緊張や不安の感覚も強まっています。

2つ目は、若い女性25人(平均23歳)を対象にした2012年の実験です。同じようなやり方で、体重の約1.4%ぶんの水分を減らしました。

こちらでは、やる気(活力)が下がり、疲労感が増えました。課題を難しく感じ、集中が下がり、頭痛が増えたとも報告されています。ただし、計算などの成績そのものは、大きくは変わりませんでした。

ここは冷静に受け取ってください。2つ合わせても50人ほどの小さな実験で、参加者は若い人が中心です。運動と利尿薬で短い時間に脱水させた実験室の条件で、デスクで少しずつ乾いていく日常より、強めで速い脱水です。

そして下がったのは主に気分と注意で、頭の働き全部が落ちたわけではありません。「水を飲めば頭が良くなる」という話ではなく、効果には個人差もあります。

失った水分の量を体重比で示した横スケールの図。左端が0%、右端が2%で、研究で作られた脱水条件は体重の約1.4〜1.6%の帯として中央よりやや右に示されている。その下に、このとき起きやすいことが2つ並ぶ。左は「気分が下がりやすい(疲れを感じる・やる気が出にくい)」、右は「注意がそれやすい(ミスが増える・課題が難しく感じる)」。図の下に、どちらも運動と利尿薬で短時間に脱水させた実験室の条件だと注記がある
図1: 体重の約1.5%の水分が減ると、気分と注意が下がりやすかった(当サイト作成)

見てのとおり、体重比でわずかな量です。大量に汗をかかなくても、この範囲には届きます。

なぜ「渇く前」に飲むといいのか

のどの渇きは、水分が減ってから遅れて出るサインとされます。だから渇いてから飲むと、少し後手になりがちです。

午後は、水分が減りやすい時間でもあります。朝食のあと長く飲んでいない、空調で乾く、飲むのはコーヒーばかり。こうして気づかないうちに水分が目減りしていきます。

そこに、午後の集中の切れやすさが重なる。だとすれば、渇く前に少しずつ足すほうが理にかなっています。

一気にたくさん飲む必要はありません。少量をこまめに、が続けやすいやり方です。

午後の集中をめぐる工夫は、健康の柱でもいくつか扱っています。眠気で切れるタイプなら、午後の短い昼寝の使い方と組み合わせるのもいいでしょう。

今日から試す、こまめな水分

やることはシンプルです。渇く前に、少しずつ飲む。それだけです。

  1. デスクに水かお茶を1本置く。目に入る所に置き、1〜2時間おきに一口〜数口
  2. 会議やタスクの区切りを合図にする。「始める前に一口」と決めると忘れにくい
  3. コーヒーやエナジードリンクだけで水分を済ませない。水や麦茶も混ぜる
  4. 尿の色が濃い、頭が重い、口が乾く。これらは「少し足りないかも」の目安。渇ききる前に足す

味気なければ、お茶や炭酸水でもかまいません。続けやすさを最優先にしてください。

一点だけ注意があります。腎臓や心臓の病気などで水分を制限している人は、この記事の当てはまらない場合があります。その場合は自己判断で増やさず、主治医の指示に従ってください。飲めば飲むほどよい、という話でもありません。

午後にぼんやりしてきたら、気合いを入れ直す前に、まず一口。次の休憩で、机の上のコップに手を伸ばしてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. デスクに水かお茶を置き、1〜2時間おきに一口ずつ飲む
  2. のどが渇いてからではなく、渇く前に少量を口にする
  3. 会議やタスクの区切りを、水を飲む合図にする
  4. コーヒーだけで済ませず、水や麦茶も混ぜる
  5. 腎臓・心臓などで水分制限がある人は主治医の指示に従う

出典・参考

  1. Ganio, M. S., Armstrong, L. E., Casa, D. J., McDermott, B. P., Lee, E. C., Yamamoto, L. M., Marzano, S., Lopez, R. M., Jimenez, L., Le Bellego, L., Chevillotte, E., & Lieberman, H. R. (2011) Mild dehydration impairs cognitive performance and mood of men. British Journal of Nutrition, 106(10), 1535-1543.cambridge.org
  2. Armstrong, L. E., Ganio, M. S., Casa, D. J., Lee, E. C., McDermott, B. P., Klau, J. F., Jimenez, L., Le Bellego, L., Chevillotte, E., & Lieberman, H. R. (2012) Mild dehydration affects mood in healthy young women. The Journal of Nutrition, 142(2), 382-388.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。