コーヒーナップ——昼寝前のコーヒーで午後の眠気を立て直す
Health / Research Digest

コーヒーナップ——昼寝前のコーヒーで午後の眠気を立て直す

午後の会議で猛烈に眠い。昼寝の直前にコーヒーを飲む「コーヒーナップ」なら、目覚めるころにカフェインが効き始めます。運転課題で眠気とミスが減ったという研究をもとに、カフェインの量と15〜20分の仮眠のコツを、限界と注意も添えてまとめました。

昼食のあとの、午後2時ごろ。

パソコンに向かっているのに、まぶたが落ちてくる。コーヒーを飲んでも、しばらくはぼんやりが晴れません。会議の話も、半分くらいしか頭に入らない。

そんな午後の眠気に、昼寝とコーヒーを「一緒に使う」方法があります。

「コーヒーナップ」と呼ばれる、昼寝の直前にカフェインをとってから短く眠るやり方です。

昼寝の前にカフェイン、という合わせ技

コーヒーと昼寝は、どちらか片方でも眠気に効きます。ただ、組み合わせたほうがよかった、という研究があります。

イギリスの研究チームが、眠気の出やすい12人を調べました。全員が同じ条件を順番に試す方式で、本物か偽物かは本人に分からないようにしています。

午後、2時間の単調な運転をドライブシミュレーターで行う前に、30分の休憩をとります。その休憩で3通りを比べました。

  • カフェイン200mg+短い仮眠(15分ほど)
  • カフェイン200mgだけ
  • 偽薬(カフェインなし)

運転中のミスがいちばん少なかったのは、①の合わせ技でした。

偽薬のときを基準にすると、ミスはカフェインだけで約3分の1に、コーヒーナップでは10分の1近くまで減った、と報告されています。

面白いのは、仮眠でぐっすり眠れなくても、うとうとする程度で役に立ったことです。

ただし、これは12人という小さな研究です。眠気の出やすい人が、室内の運転課題で試した結果で、そのまま誰にでも当てはまるわけではありません。

日本の研究でも、似た結果

健康な10人を対象にした研究でも、近い結果が出ています。

20分の仮眠のあと、何もしない・カフェイン・明るい光・洗顔などを比べています。眠気と作業成績の両方でいちばんよかったのは、仮眠とカフェインの組み合わせでした。効果は、仮眠のあとおよそ1時間つづいた、とされています。

こちらも10人の小さな研究です。数字を鵜呑みにはできませんが、「短い仮眠にカフェインを足す」向きは、2つの研究に共通しています。

なぜ「飲んでから眠る」のか

カギは、カフェインが効くまでの時間差です。

カフェインは、飲んですぐには効きません。体にはほぼ全部が吸収されますが、効き始めるまで20〜30分ほどかかるとされます。

つまり、飲んだ直後の15〜20分は、まだ効いていない「待ち時間」です。

その時間を昼寝に充てると、目を覚ますころに、ちょうどカフェインが効いてきます。眠って眠気の元をいくらか流し、起きるタイミングでカフェインが後押しする。この二段構えが、合わせ技の正体です。

下の図が、その時間差のイメージです。

横軸に時間の経過をとった模式図。左側にコーヒーを飲んだ直後の15〜20分の仮眠を青い帯で示し、カフェインの効きを表すオレンジの曲線がその間にゆるやかに立ち上がる。目を覚ますころに曲線が伸びていき、目覚めと入れ替わりでカフェインが効いてくる様子を表している
図1: 眠っているあいだにカフェインが立ち上がり、目覚めと入れ替わりで効いてくる(当サイト作成・模式図)

見てのとおり、眠りとカフェインが入れ替わりでバトンを渡すイメージです。

会社の昼休みに、どう試すか

日本の昼休みは45〜60分が多く、この方法とは相性のいい長さです。

やることは単純です。眠気が来はじめる午後の早い時間に、コーヒーか濃いめの緑茶を一杯飲む。飲んだらすぐ、机に伏せるかソファにもたれて、15〜20分だけ目を閉じます。

在宅なら椅子を少し倒すだけ、オフィスなら休憩室や自席で十分です。完全に横にならなくてもかまいません。

短い昼寝そのもののコツは午後の短い昼寝の使い方にまとめました。コーヒーナップは、その昼寝に「直前の一杯」を足す応用版だと考えてください。

今日から試す手順

手順はシンプルです。

  1. 眠気が来はじめる午後の早い時間(昼食後〜15時ごろまで)を選ぶ
  2. コーヒーか緑茶などでカフェインをとる。目安はコーヒー1〜2杯分
  3. 飲んだらすぐ、机やソファで体を軽く倒し、タイマーを15〜20分にセットして目を閉じる
  4. アラームで起きたら、明るい場所で数分過ごし、軽く体を動かして頭を切り替える

眠れなくても、目を閉じてうとうとするだけでかまいません。研究でも、その程度で役に立っています。

まずは今日の昼、コーヒー1杯と15分のタイマーから試してみてください。

向いていない人・注意したいこと

まず、夕方以降はやめてください。カフェインは体内で半分に減るまでおよそ5時間と長く、午後遅くにとると夜の寝つきに響くことがあります。目安は昼過ぎまで。夜のカフェインの考え方はカフェインの門限の決め方にまとめました。

カフェインが体に合わない人・動悸や胃の不快が出やすい人は、無理に取り入れないでください。

不眠の傾向がある人も、昼のカフェインと昼寝が、夜の眠りをさらに遠ざけることがあります。この場合は控えるか、遅い時間は避けてください。

妊娠中の人や持病のある人は、カフェインの量にとくに注意が要ります。量や飲み方に不安があるときは、自己判断せず医師や薬剤師に相談してください。

効果は平均としての傾向で、個人差があります。合う量や長さは人によって違うので、少なめのカフェインと15分ほどから、自分に合うところを探るくらいがちょうどいいはずです。

眠気ではなく「頭がぼんやりする」日は、水分の不足が隠れていることもあります(軽い脱水で集中が切れやすい)。体を整える小さな習慣は、健康の柱でも扱っています。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 眠気が来はじめる午後の早い時間(昼食後〜15時ごろまで)を選ぶ
  2. コーヒーか緑茶などでカフェインを一杯とる。目安はコーヒー1〜2杯分
  3. 飲んだらすぐ、机やソファで体を軽く倒し、タイマーを15〜20分にセットして目を閉じる
  4. 起きたら明るい場所で数分過ごし、軽く体を動かして頭を切り替える
  5. 夕方以降はやらない。カフェインが合わない人・不眠傾向の人・妊娠中や持病のある人は無理せず医師に相談する

出典・参考

  1. Reyner, L. A. & Horne, J. A. (1997) Suppression of sleepiness in drivers: combination of caffeine with a short nap. Psychophysiology, 34(6), 721-725.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Hayashi, M., Masuda, A., & Hori, T. (2003) The alerting effects of caffeine, bright light and face washing after a short daytime nap. Clinical Neurophysiology, 114(12), 2268-2278.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Caffeine. StatPearls (NCBI Bookshelf, NBK519490). — カフェインの吸収と半減期の総説。ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。