インターバル速歩「速い3分・ゆっくり3分」——歩いた量より速さで体力がついた
Health / Research Digest

インターバル速歩「速い3分・ゆっくり3分」——歩いた量より速さで体力がついた

毎日それなりに歩いているのに、体力も脚の力もいまひとつ。中高年246人の試験では、同じ速さでだらだら歩くより『速い3分・ゆっくり3分』を繰り返した人のほうが、脚の力と有酸素能力が伸びました。研究の範囲を確かめつつ、今日から歩ける形にまとめました。

駅の階段を、早足で上る。

残り数段で息が切れて、手すりをつかむ。

健康のために、毎日それなりに歩いているつもりなのに。

もしかすると、足りないのは歩いた「量」ではなく、歩く「速さ」かもしれません。

ある研究では、歩く速さに強弱をつけた人だけ、脚の力と体力の指標がはっきり伸びていました。同じ速さでこまめに歩いただけでは、そこまでの変化は出ていません。

この歩き方を調べた研究

2007年、信州大学の研究チームが、ある歩き方を試しました。

対象は中高年の男女246人。平均年齢は63歳です。

参加者をくじで3つのグループに分け、5か月ほど続けてもらいました。

  1. 歩く運動はしない
  2. 同じ速さで、こまめに歩く(ふつうのウォーキング)
  3. 速い3分とゆっくり3分を、交互にくり返す

3つ目が、後に「インターバル速歩」と呼ばれる歩き方です。

速い3分は、自分の最大の力の7割以上。ゆっくり3分は4割ほど。これを1日5セット以上、週4日以上くり返します。

下の図が、この「3分ごとに速さを変える」歩き方の形です。

インターバル速歩の歩き方を示した図。速く歩く3分(赤いバー)とゆっくり歩く3分(緑のバー)が交互に並び、これを1セットとして5セット、合計約30分になる。ずっと全力で歩くわけではなく、週4日以上くり返す
図1: 速い3分とゆっくり3分を交互に。全力で歩き続けるわけではない(当サイト作成)

見てのとおり、速い区間とゆっくりの区間が交互に並びます。ずっと全力で歩くわけではありません。

5か月後、はっきり差が出たのは3つ目のグループでした。

太ももの力は、膝を伸ばす力で13%、曲げる力で17%増えています。歩きでの有酸素能力も9%上がりました。

安静時の血圧が下がった幅も、このグループが最も大きかったと報告されています。

強弱をつけて歩いたグループだけに、はっきりした数字の動きが出ました。

これはくじ引きで振り分けた比較試験で、信頼性は高めです。

ただし、対象は平均63歳の中高年でした。若い人や体力に自信のある人に、そのまま同じ結果が出るとは限りません。

著者らも、この歩き方が「年齢にともなう体力や血圧の変化を防ぐ助けになることがある」という慎重な言い方にとどめています。

「歩いた量」より「速く歩いた時間」

もう1つ、同じ研究チームが大人数で調べたデータがあります。

インターバル速歩を5か月続けた679人(平均65歳)を分析したものです。

全体で、有酸素能力の推定値が14%上がり、生活習慣病のリスクを表すスコアが17%下がっていました。

注目したいのは、何が効いていたかです。

伸びと結びついていたのは、1週間のうち「速く歩いた時間」でした。ゆっくり歩いた時間や、歩いた合計時間とは、はっきりした関係が見られませんでした。

しかも、速歩きの効果が伸びたのは週50分あたりまで。それを超えると、変化はゆるやかになっていました。

2つの結果を重ねると、最初の試験で「同じ速さで歩いた」グループの伸びが小さかった理由が見えてきます。

伸びに結びついていたのは、歩いた時間ではなく速く歩いた時間でした。速さが混ざらなければ、どれだけ長く歩いても、効果は積み上がりにくいということです。

では、ふつうのウォーキングと何が違うのでしょうか。距離でも時間でもなく、「息が上がる3分」を意図して差し込むかどうかです。

ただし、こちらは実際に取り組んだ人たちを追ったデータで、くじ引きの比較ではありません。

もともと熱心な人ほど伸びやすかった可能性は残ります。数字は誇張せず、傾向として受け取るのが妥当です。

今日からできる「速い3分・ゆっくり3分」

やることはシンプルです。速い3分とゆっくり3分を、交互にくり返すだけです。

  1. 速く歩く3分。会話が続かない手前の、少し息が上がる速さ
  2. ゆっくり歩く3分。楽に息が整う速さに落とす
  3. これを1セットとして、5セット(合計約30分)をめやすに
  4. 週4日以上。まずは速歩きの合計が週50分に届くことをめざす

速さの合図は、息と会話です。

速い区間は「歌えないけれど話せる」あたり、ゆっくりは「鼻歌が出る」くらい。時計の3分にこだわりすぎず、体の感覚で切り替えて構いません。

続けるコツは、「速く歩いた分数」を記録することです。研究で数字を動かしていたのは、まさにこの時間でした。

目安の5セット×週4日を守ると、速歩きの合計は週60分ほどになります。2つ目の調査で伸びが安定し始めるとされた週50分のラインを、自然に超える計算です。

歩数そのものを増やす話は1日の歩数と健康に、階段を使った短い運動は階段のぼりの運動効果にまとめています。体を動かす小さな工夫は、健康の柱でもいくつか扱っています。

うまくいかないとき・向いていない人

つまずきやすいのは、速い区間を「速すぎる」ことです。

息が上がりすぎると、3分もたずに歩けなくなります。話せる範囲を守れば、5セットまで続きます。

次の人は、始める前に気をつけてください。

  • 高血圧や持病がある人、薬を飲んでいる人。運動の強さを上げる前に、主治医へ相談を
  • 膝や腰に痛みがある人。無理に速さや回数を増やさない
  • 体力に不安がある人。最初は2〜3セットから始め、少しずつ増やす

ここで紹介したのは研究から見えた傾向で、医療的なアドバイスではありません。病気を防ぐ、確実に体力がつく、といった約束ではありません。

一度に完璧を目指す必要はありません。

次の散歩で、3分だけいつもより速く歩いてみる——まずはそこから始めてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 「速く3分・ゆっくり3分」を交互に。5セットで約30分をめやすに
  2. 速いは「会話が続かない」手前、ゆっくりは「楽に息が整う」速さ
  3. 週4日以上を目標に。まず速歩きの合計が週50分に届くことをめざす
  4. 続けるなら、「速く歩いた分数」を記録する
  5. 高血圧・持病・服薬中や膝腰に不安がある人は、始める前に主治医へ相談する

出典・参考

  1. Nemoto, K., Gen-no, H., Masuki, S., Okazaki, K., & Nose, H. (2007) Effects of High-Intensity Interval Walking Training on Physical Fitness and Blood Pressure in Middle-Aged and Older People. Mayo Clinic Proceedings, 82(7), 803-811.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Masuki, S., Morikawa, M., & Nose, H. (2019) High-Intensity Walking Time Is a Key Determinant to Increase Physical Fitness and Improve Health Outcomes After Interval Walking Training in Middle-Aged and Older People. Mayo Clinic Proceedings, 94(12), 2415-2426.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。