スマホは机にあるだけで集中を奪う?——有名な研究と、その後の答え合わせ
「スマホは机の上にあるだけで頭の働きが落ちる」。よく聞く話です。有名な実験がもとですが、その後の追試をまとめると、効果は"あるにはあるが小さい"のが実際でした。見出しほど劇的ではありません。では本当に集中を削るものは何か。確実な一手をまとめました。
集中したいのに、視界の端のスマホが気になる。「置いてあるだけで頭が働かなくなる」と聞いて、あわてて引き出しにしまう。
でも、それで本当に変わるのでしょうか。
よく聞く話ほど、いちど答え合わせをしておくと安心です。
有名な「置いてあるだけで」研究
きっかけは、2017年のワードらの実験です。
参加者を、スマホを机の上・かばんの中・別の部屋、と置き場所で分けて、記憶や注意の課題に取り組んでもらいました。
すると、スマホが手元にあるグループの成績がいちばん低かった、と報告されています。しかも、スマホを頼りにしている人ほど、その差が大きかったそうです。
「見えていなくても、頭の片隅がスマホに使われている」。この説明が広まり、「置いてあるだけで頭が悪くなる」という見出しになりました。
その後の「答え合わせ」
ただ、話はここで終わりません。
この効果は、あとに続いた実験で、出たり出なかったりしました。
22の研究・約2900人ぶんをまとめた分析では、影響はマイナス方向だけれど、全体としてはごくわずかでした。はっきり差が出たのは記憶の課題だけで、注意や作業全般への影響は弱かったと報告されています。
研究ごとのばらつきも大きく、「どんな場面でも効く」とは言えません。
つまり「机にあるだけで頭が悪くなる」は、まったくの嘘ではないけれど、見出しほど大きな話でもない。ここが正確なところです。
図のように、印象と実際の大きさには開きがあります。過度に怖がる必要はありません。
本当に集中を削るもの
では、置き場所は気にしなくていいのか。そうとも言い切れません。
はっきりコストがかかるのは、「置いてあること」より「手に取ること」のほうです。
通知が鳴る、つい画面を見る。一度そちらへ意識が向くと、元の作業に戻るのに時間がかかります。この中断のコストは、くり返し確かめられています。
だから労力は、置き場所より「手に取る回数」を減らすほうへ向けます。やり方は通知をまとめて処理すると、作業を切り替えた後の”残り”にまとめました。
過信も、無視もしない
行動に落とすと、こうなります。
- 作業中はスマホを視界の外へ(別の部屋・かばんの中)。見えないと手が伸びにくい
- 通知はまとめてオフにするか、集中モードにする
- 手元に置くなら、画面を伏せて機内モードにする
- 置き場所だけで劇的に変わると期待せず、手に取る回数を減らすことを本命にする
コツは、「見えない場所に置く」を”劇的な対策”ではなく”低コストの予防”として使うことです。安いのだから、やって損はありません。
集中の整え方は、集中の柱でもまとめています。
今日はまず、作業のあいだだけスマホをかばんへ。手を伸ばすひと手間が、寄り道を減らします。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 作業中はスマホを視界の外へ(別の部屋・かばんの中)。見えないと手が伸びにくい
- 通知はまとめてオフにするか、集中モードにする
- 手元に置くなら画面を伏せ、機内モードにする
- 「置き場所」だけで劇的に変わると期待せず、手に取る回数を減らすことを本命にする
出典・参考
- Ward, A. F., Duke, K., Gneezy, A., & Bos, M. W. (2017) Brain Drain: The Mere Presence of One's Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity. Journal of the Association for Consumer Research, 2(2), 140-154.repositories.lib.utexas.edu
- Böffel, C., et al. (2024) Does the Mere Presence of a Smartphone Impact Cognitive Performance? A Meta-Analysis of the Brain Drain Effect. Media Psychology, 27(5). (PMC10525686)pmc.ncbi.nlm.nih.gov
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。