食べる前に水を1杯——食べ過ぎがやわらいだ実験
Health / Research Digest

食べる前に水を1杯——食べ過ぎがやわらいだ実験

食べる前にコップ1〜2杯の水を飲むと、同じ食事でも食べる量が自然に減った実験があります。ダイエット中の減り方がやや大きかった研究や、その限界も添えて、今日からの「食前の1杯」をまとめました。

仕事帰りの夕食前。おなかはぺこぺこです。丼や定食に箸をつけて、気づけば器が空。

そのあとに「ちょっと食べすぎたな」がやってくる。よくある夜です。

おなかがいっぱいという感覚は、食べ始めてから少し遅れて来ます。

その感覚を早める方法が一つあります。食べる前に、水を1杯。それだけです。

食べる前に水を飲むと、食べる量が減った

食事の直前に水を飲むと、その一食の量はどう変わるのか。

チョンらの研究チームが、実験で調べました(2018年、栄養学の専門誌)。

研究チームは、健康な若い15人に同じ食事を出しました。ある日は食前に水を約300mL飲み、別の日は飲まずに食べます。

すると、先に水を飲んだ日のほうが、食べた量は少なくなりました。

下の図が、その差です。

チョンら2018年の実験で、健康な若い15人に同じ食事を出し、食前に水を約300mL飲んだ場合と飲まなかった場合に食べた量を比べた棒グラフ。水を飲まなかった日は161.7グラム、食前に水を飲んだ日は123.3グラム食べた。先に水を飲んだ日のほうが約38グラム少なかった。
図1: 同じ食事でも、先に水を飲んだ日は食べる量が減った(当サイト作成)

食べた量は、水を飲まない日が161.7g、飲んだ日が123.3gでした。およそ38g少ない結果です。

気になるのは満腹感です。量が減っても、満腹感は下がっていませんでした。

つまり、満腹感は変わらないまま、食べる量だけが減りました。

ただしこの実験は、健康な若い15人の1回の食事を調べたもので、体重への影響までは調べていません。誰にでも当てはまるとは言えません。

ダイエット中の減り方が、少し大きかった

数週間続けた研究もあります。

デニスらの研究チームは、55〜75歳の48人に参加してもらいました(2010年、肥満研究の専門誌)。

全員がカロリーを控える食事に取り組み、そのうち半分の人は毎食前に500mLの水を飲みました。

12週間後、水を飲んだグループのほうが、体重がより大きく減りました。

水グループは約2kg多く減り、減り方は水を飲まないグループより44%大きい結果でした。

イギリスでも似た研究がありました。パレッティらは、肥満の成人84人を対象に、同じ方法を試しました(2015年)。

食事の前に500mLの水を飲んだグループは、12週間で約1.3kg多く減りました。比べた相手は、水の代わりに「おなかがいっぱいだと思い浮かべる」よう言われたグループです。

ただし著者は、これを「予備的な結果」と位置づけ、中くらいの減量だと慎重に書いています。

分かっていること、分かっていないこと

よく言われる説明はこうです。先に水で胃を少し満たしておくと、食べ始めてすぐに「もう入らない」と感じやすくなる。ただし、この仕組みがほんとうに働いているのかは、まだはっきりしていません。チョンらも、なぜ量が減るのかは分からないと書いています。

はっきりしているのは、脂肪を燃やすとか代謝を上げるといった話ではないことです。研究で確かめられたのは、「その食事で食べすぎにくくなるか」だけです。

年齢による違いにも触れておきます。体重がはっきり減ったデニスらの研究は、中高年が対象でした。若い人を対象にしたチョンらの研究は、1回の食事で食べる量を見ただけで、体重への影響は調べていません。

ですから、「水を飲めば痩せる」とまでは言えません。「食べすぎのブレーキが1つ増えるかもしれない」くらいに考えておくのがちょうどいいでしょう。

丼や麺類をかき込みがちな人は、早食いをやめるや食べる順番を変えるも合わせて試すと、量を我慢せずに食べすぎを防げます。

今日から試す「食前の1杯」

やることは、食事の前に水を1杯足すだけです。次の5つを全部やる必要はありません。

  1. 食事の10〜30分前に、コップ1〜2杯(約500mL)飲む。 研究では食事の直前から30分ほど前に飲んでいます。直前でもかまいませんが、少し前のほうがおなかが落ち着きます。
  2. まず1食から。 3食すべては続きません。外食や夜遅い夕食など、いちばん食べ過ぎがちな一食から始めます。
  3. 渇いていなくても飲む。 のどが渇いていなくても、「食前の1杯」を食事を始める習慣にします。
  4. 中身は水かお茶で。 常温の水や麦茶などにします。ジュースやお酒はカロリーが増えて、食べすぎを防ぐ狙いと逆になります。
  5. コップを食卓に置いておく。 目に入れば忘れにくくなります。外食なら、最初に出るお冷やが代わりです。

まずは夕食の前に1杯、1週間だけ続けてみましょう。

向いていない人・注意したいこと

ここで紹介したのは、食前の水と、食べる量や体重との関係だけです。これらの研究は、体重が必ず減ることや病気の予防を示したものではありません。効果には個人差があり、この記事は医学的な助言でもありません。

心不全や腎臓の病気などで水分を制限されている人、むくみやすい人、服薬中で水分量に注意が要る人は、自己判断で水を増やさず、先に医師に相談してください。

一度に大量の水を流し込むのは避けてください。食事が飲み込みにくくなるほどの量は、逆効果です。

食べる量や体重が頭から離れないほど悩んでいるなら、工夫より先に、医師や専門の窓口に相談してください。

食前の1杯は、満腹の合図を少し早く受け取るための準備です。

体の調子を整えるほかの方法は、健康の記事でも紹介しています。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 食事の10〜30分前に、コップ1〜2杯(約500mL)の水を飲む
  2. 3食すべてより、まず食べ過ぎがちな1食から始める
  3. のどが渇いていなくても「食前の1杯」を合図として置く
  4. 甘い飲み物やお酒ではなく、水かお茶で(カロリーを足さない)
  5. 水分制限のある持病の人・むくみや腎臓に不安がある人は医師に相談する

出典・参考

  1. Dennis, E. A., Dengo, A. L., Comber, D. L., Flack, K. D., Savla, J., Davy, K. P., & Davy, B. M. (2010) Water Consumption Increases Weight Loss During a Hypocaloric Diet Intervention in Middle-aged and Older Adults. Obesity, 18(2), 300-307.pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Parretti, H. M., Aveyard, P., Blannin, A., Clifford, S. J., Coleman, S. J., Roalfe, A., & Daley, A. J. (2015) Efficacy of water preloading before main meals as a strategy for weight loss in primary care patients with obesity: RCT. Obesity, 23(9), 1785-1791.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Jeong, J. N. (2018) Effect of Pre-meal Water Consumption on Energy Intake and Satiety in Non-obese Young Adults. Clinical Nutrition Research, 7(4), 291-296.e-cnr.org

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。