超加工食品は1日500kcal多く食べていた——NIHの入院実験でわかったこと
同じカロリー・栄養素の食事でも、超加工食品を出された週は1日平均508kcal多く食べ、2週間で体重が0.9kg増えました。NIHの入院実験と988万人分のデータを分析したBMJのレビューから、今日から置き換えられる手順をまとめました。
晩ごはんはコンビニの弁当と菓子パン。特に食べすぎたつもりはないのに、気づけばお腹がいっぱいを通り越しています。
食べ方が雑だから、と自分を責めていませんか。
実は「つい食べすぎる」を、同じ条件で再現した実験があります。カロリーも栄養素もそろえた食事なのに、超加工食品を出された週だけ、参加者は余分に食べていました。
20人を28日間、同じ栄養素で比べた実験
手がかりは、2019年にCell Metabolism誌に載った研究です。実施したのはアメリカの国立衛生研究所(NIH)です。
体重が安定した成人20人(男性10人・女性10人、平均31歳)が、NIHの臨床センターに28日間入院しました。
参加者は2週間、超加工食品中心の食事を、残りの2週間は未加工食品中心の食事を、順番を入れ替えて食べています。量は「好きなだけ」でした。
ポイントは、2つの食事がカロリー・糖・脂肪・塩分・食物繊維・栄養バランスをそろえて用意されていたことです。食事の中身以外の条件は、そろえてあります。
結果は、はっきり分かれました。超加工食品の週は、1日平均508kcal多く食べていたのです。
体重も動きました。超加工食品の週は2週間で0.9kg増え、未加工食品の週は0.9kg減っていました。
下の図が、この実験の結果です。
見てのとおり、栄養素をそろえても、体重の変化は逆方向に動いていました。
理由の1つが、食べる速さです。超加工食品は、1分あたり17kcal多いペースで食べられていました。
噛む回数が少なく飲み込みやすい食品ほど、満腹の合図が届く前に食べ進んでしまう、と研究チームは見ています。
この実験は入院という管理された環境で行われたものです。ふだんの生活にそのまま当てはまるとは限りません。値段や手に入れやすさが選択に与える影響も、この実験だけでは分かりません。
長期的な健康との関連も報告されている
入院実験だけでなく、実生活のデータを束ねた研究もあります。
2024年、英国医師会雑誌(BMJ)に、超加工食品と健康の関連を調べたレビューが載りました。
14件のレビュー論文から45件のメタ分析(観察研究)を束ね、延べ988万人分のデータを見ています。
超加工食品を多く摂る人ほど、32種類の健康リスクとの関連が示されました。あらゆる原因による死亡リスクは21%高く、心血管疾患による死亡リスクは50%高いという結果です。気分の不調との関連は53%、不安症状との関連は48%、それぞれ高いという報告もありました。
ただし、これは「多く食べている人ほど、リスクが高い傾向にあった」という観察研究の集まりです。原因と結果を証明したものではありません。食事の測り方の違いによる誤差や、ほかの生活習慣の影響を完全には取り除けない、と著者自身が限界を記しています。
因果関係まで確かめたのは、さきほどのNIHの実験(摂取カロリーと体重について)だけです。それでも、2つの研究の向きはそろっています。
コンビニ・スーパーでの見分け方
「超加工食品」と言われても、ピンとこないかもしれません。目安は、原材料表示の長さと、見慣れない添加物の数です。
菓子パン、スナック菓子、清涼飲料水、カップ麺は当てはまりやすい食品です。ハムやソーセージ、冷凍のから揚げも同じです。
一方、野菜・魚・肉・米・卵はどうでしょう。切っただけ・茹でただけ・焼いただけなら、未加工〜軽加工に近い食品です。納豆や味噌のような発酵食品も、同じ仲間に入ります。
コンビニでも、選び方次第で近づけます。おにぎりと味噌汁、サラダチキンと野菜パックの組み合わせは、揚げ物の菓子パンより加工度が低い選択です。
早食いに心当たりがある人は、早食いをやめると食べ過ぎが減るも合わせて読むと、噛む速さそのものを見直せます。食後の血糖が気になる人は、食べる順番を変える工夫も一緒に試せます。
今日から試す、置き換えの手順
道具はいりません。順番はこうです。
- 夕食の主菜を1品、袋から出してすぐ食べられる物から、切って焼くか茹でるだけの物に替える
- コンビニで買うときは、原材料表示を見て、書かれている数が少ない商品を1つ選ぶ
- 麺類や菓子パンで早食いになりがちな日は、いったん皿に取り分けてから食べる
- 週に2回、冷凍食品や菓子の代わりに、果物やゆで卵を間食にする
続けるコツは、全部を一度に変えないことです。まずは夕食の主菜1品、それだけです。
体重や食欲の急な変化が続くときは、超加工食品だけが原因とは限りません。自己判断で極端に食事を減らさず、気になる場合は医療機関に相談してください。
ほかの整え方は健康の柱でもまとめています。まずは、今日の夕食から1品だけ、置き換えてみてください。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 夕食の主菜を1品、切って焼くか茹でるだけの物に替える
- コンビニでは原材料表示の行数が少ない商品を選ぶ
- 麺類や菓子パンの日は、いったん皿に取り分けてから食べる
- 間食を冷凍食品や菓子から、果物やゆで卵に替える
- 体重や食欲の変化が続くときは、自己判断で我慢せず医療機関に相談する
出典・参考
- Hall, K. D., Ayuketah, A., Brychta, R., Cai, H., Cassimatis, T., Chen, K. Y., et al. (2019) Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake. Cell Metabolism, 30(1), 67-77.e3. NIH臨床センターに28日間入院した体重安定の成人20人(男女10人ずつ、平均31歳)を対象にした無作為化比較試験(クロスオーバー)。超加工食品中心・未加工食品中心の食事を2週間ずつ順番を入れ替えて提供し、カロリー・糖・脂肪・塩分・食物繊維・栄養バランスをそろえたうえで量は自由摂取(ad libitum)とした。超加工食品の期間は1日平均508±106kcal多く摂取し(p=0.0001)、2週間で体重が0.9±0.3kg増加。未加工食品の期間は0.9±0.3kg減少(いずれも統計的に有意)。食べる速度も超加工食品の期間で17±1kcal/分速く、摂取量の増加と中程度の相関(r=0.45)。限界は入院という管理環境に限られ、費用や入手しやすさが選択に与える影響は検討していない点。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Lane, M. M., Gamage, E., Du, S., et al. (2024) Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses. BMJ, 384, e077310. MEDLINE・PsycINFO・Embase・Cochraneを検索し、14件のレビュー論文から45件のメタ分析(観察研究、延べ988万人分)を統合したアンブレラレビュー。超加工食品の摂取が多い人ほど、全死因死亡(リスク比1.21)・心血管疾患関連死亡(リスク比1.50)・気分の不調(オッズ比1.53)・不安症状(オッズ比1.48)を含む32種類の健康リスクと関連。著者は観察研究に共通する限界(測定方法の違いによる誤差、交絡因子を完全には除けないこと)を明記している。pmc.ncbi.nlm.nih.gov
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。