「二度寝は体に悪い」は本当か——スヌーズと寝起きのだるさの科学
Health / Research Digest

「二度寝は体に悪い」は本当か——スヌーズと寝起きのだるさの科学

毎朝スヌーズを何度も押しては自己嫌悪。二度寝は体に悪いと聞くと、なおさら気がとがめますよね。でも習慣的にスヌーズする人を調べた研究では、朝に30分の二度寝で寝起きの認知はむしろ少し整い、睡眠量や気分への悪影響も小さめでした。研究が示した範囲と、睡眠時間を削らない付き合い方をまとめます。

毎朝、目覚ましが鳴る。手が勝手にスヌーズを押す。

5分後、また鳴る。また押す。気づけば3回目——。

「二度寝は体に悪い」と聞くと、朝から自己嫌悪になりますよね。でも最近の研究を読むと、話はそう単純ではないようです。

そもそも「寝起きのだるさ」とは何か

結論から。起きた直後に頭がぼんやりするのは、意志の問題ではありません。

これは「睡眠慣性」と呼ばれる、誰にでも起きる一時的な状態です。ヒルディッチらの総説(2019年)は、これを「目覚めた直後の眠気と、頭がうまく働かない一時的な状態」と説明しています。

大事なのは、これが時間とともに抜けていくこと。影響が強いのは主に起床後の30分ほどで、その後は頭が働くようになっていきます。

ただし、前夜の睡眠が足りないと、このだるさは強まります。夜型の時間帯に無理やり起きたときも同じです。

つまり寝起きのつらさは、根性ではなく、体の仕組みと睡眠不足の問題だということです。

寝起きのだるさ(睡眠慣性)の時間経過を示す折れ線グラフ。縦軸は頭のはっきりさ、横軸は起きてからの時間。起床直後は頭がぼんやりして睡眠慣性が最も強く、その後は右肩上がりに回復して、30分後には大きく持ち直し、1〜2時間後にはしっかり働く水準に近づく様子を示している
図1: 頭がはっきりするまでには少し時間がかかる(当サイト作成)

見てのとおり、起きた瞬間に全力で動けないのは、当たり前のことなのです。

30分のスヌーズで認知は下がらなかった

では、二度寝そのものはどうなのか。

スンデリンらの研究(2023年)が、習慣的にスヌーズする人を対象に調べています。

まずアンケート。5か国の1,732人に朝の習慣を聞くと、多くが「まだ眠い」からスヌーズしていました。

次に実験室での研究です。ふだんからスヌーズする健康な31人(平均27.5歳)に、脳波などを測りながら2通りの朝を試してもらいました。

目覚ましで一気に起きる朝と、30分かけて何度か鳴らして二度寝する朝です。

結果はこうでした。30分のスヌーズをしても、起き抜けの認知テストの成績は下がらず、むしろ少し良い項目もありました。

失われた睡眠は平均6分ほど。コルチゾール(ストレスに関わるホルモン)の反応や、気分、日中の眠気にも、はっきりした悪影響は見られませんでした。

ただし、ここは慎重に読む必要があります。

対象は「二度寝がクセで、すぐ寝つける人」が中心の、若く健康な31人。人数は多くなく、期間も短い研究です。

著者自身、「スヌーズが万人向きとは限らない」と断っています。

だから「二度寝は体にいい」と読み替えるのは行きすぎです。この研究が言えるのは、習慣的にスヌーズする人が短く二度寝する範囲では、恐れていたほどの悪影響は見えなかった——そこまでです。

削ってはいけないのは、睡眠時間のほう

ここで線を引いておきます。問題は「二度寝」そのものより、「睡眠時間を削ること」です。

夜ふかしで睡眠を減らし、朝のスヌーズで粘る。これは二度寝の良し悪し以前に、そもそも総量が足りていません。

先の研究で悪影響が小さかったのは、あくまで「30分の短いスヌーズ」の話です。1時間も2時間も延ばせば、その分だけ眠りが削られたり、生活リズムがずれたりします。

似た工夫に「寝起きの時刻をそろえる」があります。スヌーズするにしても、最終的に起きる時刻が毎日ばらつかないことが先です。

まずは二度寝の是非を悩む前に、夜の睡眠時間そのものを見直してみてください。

今日から試す、無理のない付き合い方

ゼロか百かで決めず、安全な範囲で整えるのが現実的です。

  1. スヌーズするなら「10分×2回まで」など、短く固定する(だらだら延ばさない)
  2. スヌーズ込みでも、最終的に起きる時刻は毎日そろえる
  3. 眠くて起きられない朝が続くなら、まず早寝で睡眠時間を増やす
  4. 起きたらカーテンを開け、朝の光を浴びる(だるさが抜けやすくなります)

朝の光の使い方は朝の光で体内時計を整えるにまとめました。

寝起きの時刻をそろえる話は睡眠のリズムを整えるが参考になります。

体を整える小さな習慣は、健康の柱でも扱っています。

眠気や不調が続くときは

最後に、ひとつだけ。

ここで紹介したのは、限られた研究から見えた傾向であって、医療的なアドバイスではありません。

毎朝どうしても起きられない、日中も強い眠気が抜けない——そんな状態が何週間も続くなら、生活の工夫だけで抱え込まないでください。背景に睡眠の問題が隠れていることもあります。気になるときは、早めに医療機関や専門家に相談してください。

今朝の一歩は小さくて十分です。スヌーズを責める前に、まず夜の睡眠を15分長くすることから始めてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. スヌーズするなら「10分×2回まで」など短く固定する
  2. スヌーズ込みでも、最終的に起きる時刻は毎日そろえる
  3. 起きられない朝が続くなら、まず早寝で睡眠時間を増やす
  4. 起きたらカーテンを開け、朝の光を浴びる
  5. 強い眠気や睡眠の悩みが続くときは専門家に相談する

出典・参考

  1. Sundelin, T., Landström, A., & Axelsson, J. (2023) Is snoozing losing? Why intermittent morning alarms are used and how they affect sleep, cognition, cortisol, and mood. Journal of Sleep Research, e14054.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Hilditch, C. J., & McHill, A. W. (2019) Sleep inertia: current insights. Nature and Science of Sleep, 11, 155-165.pmc.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。