換気しないと頭がぼんやりするのは — 締め切った部屋のCO2が、判断を静かに鈍らせるから
会議が長引くほど頭が回らない。在宅の自室でも午後になると決められない。それは気合い不足ではなく、閉め切った空気にたまった二酸化炭素のせいかもしれません。研究が示す仕組みと、窓を開けるだけの手順をまとめました。
長い会議の後半、なぜか話が頭に入らない。あくびが出て、決めごとが先送りになる。
在宅ワークでも、午後に自室のドアを閉めきったまま作業していると、だんだん考えがまとまらなくなる。
これは気合いや根気の問題とは限りません。閉め切った部屋の空気そのものが、判断力を静かに鈍らせている可能性があります。
空気がこもると、決める力が落ちるという報告
人が呼吸すると、部屋の二酸化炭素(CO2)は少しずつ増えます。換気の悪い部屋では、それがたまっていきます。
このCO2そのものが判断力に効くのかを調べたのが、Satishらの2012年の研究です。掲載誌は Environmental Health Perspectives。
参加者は22人。多くは大学生でした。同じ人が、CO2を600・1,000・2,500ppmに調整した部屋で、それぞれ意思決定のテストを受けました。
結果はこうです。600ppmと比べ、1,000ppmでは9項目のうち6項目で成績が下がりました。2,500ppmでは7項目で大きく下がりました。
とくに落ちたのは「作戦を立てる」「情報を使いこなす」「自分から動く」といった、頭を使う項目でした。
ただし、ここは慎重に見てください。22人・大学生中心・その日1日だけの実験室の課題です。著者自身も「この結果を広く一般化できるかは不確か」と断っています。
オフィスの実測でも、似た傾向が出た
実験室だけの話ではありません。実際に働く人で調べた研究もあります。
Allらは2016年、24人の専門職を対象に、6日間かけて空気の条件を変えました。本人にも実験者にも条件を伏せた二重盲検です。
換気を増やしCO2を下げた日ほど、認知テストの点は高くなりました。CO2が400ppm増えるごとに、点はおよそ21%下がる関係が見られています。
こちらも1つの管理された環境での24人の結果です。著者は「実際のオフィスでの確認が必要」と添えています。
2つの研究に共通するのは、こもった空気が思考の重荷になりうる、という向きです。断定はできませんが、試す価値のある仮説です。
頭が重いとき、まず空気を疑う場面
日本の日常には、CO2がたまりやすい場面がそろっています。
- 参加者の多い会議室で、扉を閉めたままの長い打ち合わせ
- 在宅ワークで、ドアも窓も閉めきった自室
- エアコンを効かせるために閉めきった、冬や真夏の部屋
- 渋滞中の車内や、混んだ電車の中
どれも「暑い・寒い」を避けようとして、空気を止めてしまいがちな場所です。頭が重い、眠い、決めきれない。そう感じたら、まず空気を疑ってみてください。
視界のごちゃつきも注意を削ります。あわせて机の上の物を減らすと、環境の側から集中を支えられます。
今日からできる、換気のひと手間
道具も費用もいりません。開けるだけです。
- 作業や会議を始める前に、数分だけ窓を開ける。 空気を一度入れ替えてから座る
- 1時間に1回、席を立つついでに開ける。 トイレや飲み物のたびに、窓かドアを数分開けて外気を通す
- 人が多い部屋・長い会議では、こまめに扉を開ける。 人数が多いほどCO2はたまりやすい
まずは今いる部屋の窓を、5分だけ開けるところから始めてください。頭の重さが軽くなるかどうか、自分の体で確かめられます。
休憩のたびに窓辺で外を眺めれば、換気と気分転換を一度にできます。短い休みの効かせ方は数分の休憩で集中は戻るに、外の自然が頭を休める話は自然が注意を回復させるにまとめています。
集中を仕組みで守る考え方は集中・生産性の歩き方にまとめています。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 作業や会議の前に、窓を数分開けて空気を入れ替える
- 1時間に1回、席を立つついでに窓かドアを開けて外気を通す
- 人が多い部屋・長い会議では、こまめに扉を開けて空気を逃がす
- 頭が重い・あくびが増えたと感じたら、気合いより先に換気を疑う
出典・参考
- Satish, U., Mendell, M. J., Shekhar, K., Hotchi, T., Sullivan, D., Streufert, S., & Fisk, W. J. (2012) Is CO2 an Indoor Pollutant? Direct Effects of Low-to-Moderate CO2 Concentrations on Human Decision-Making Performance. Environmental Health Perspectives, 120(12), 1671-1677.ncbi.nlm.nih.gov
- Allen, J. G., MacNaughton, P., Satish, U., Santanam, S., Vallarino, J., & Spengler, J. D. (2016) Associations of Cognitive Function Scores with Carbon Dioxide, Ventilation, and Volatile Organic Compound Exposures in Office Workers. Environmental Health Perspectives, 124(6), 805-812.ncbi.nlm.nih.gov
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。