タイムブロッキングをカレンダーアプリで実装する——「自分の作業」を予定として先に置く
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タイムブロッキングをカレンダーアプリで実装する——「自分の作業」を予定として先に置く

カレンダーが会議だけで埋まり、自分の作業時間が消えていく。時間管理の研究が示すのは、時間を区切って扱う人ほど暮らしの満足まで上がること。予定表に集中の枠を置く手順にまとめました。

カレンダーを開くと、会議と打ち合わせで一日が埋まっている。

でも、肝心の「自分の作業」は、どこにも書かれていない。

空いて見える時間は、割り込みと雑務にいつのまにか溶けていきます。気づけば夕方で、今日やるはずだった仕事に手をつけられていない。

問題は、やる気ではありません。自分の時間だけが、予定表に載っていないことです。

タイムブロッキングの正体

これに対する古典的な答えが、タイムブロッキングです。

やり方は単純です。1日をいくつかの時間の区画に分け、「何を・いつやるか」を、会議と同じように予定として先に置く。ただそれだけです。

「午後に資料を作る」ではなく「13時30分から集中作業」と、枠にして置きます。空き時間を成り行きに任せず、自分の作業にもあらかじめ場所を与える発想です。

では、時間を区切って扱うことに意味はあるのでしょうか。

時間管理の効果を調べた大きな研究があります。2021年に発表されたメタ分析で、158件の研究・約54,000人分のデータをまとめたものです。

そこでは、時間をうまく区切って扱う人ほど、仕事や学業の成果と中くらいの関係があり、さらに暮らしの満足度とはそれ以上の関係があると報告されています。著者は「時間管理はまず、成果よりも幸福度を上げるものかもしれない」と述べています。

ただし、過大に受け取らないでください。

これは相関の話で、「区切れば必ず成果が上がる」という因果の証明ではありません。研究の多くは一時点の調査で、タイムブロッキングという特定のやり方だけを試した実験でもない。

それでも方向ははっきりしています。時間を成り行きに任せないこと自体に、意味がありそうだ、ということです。

「理想の1日」を分刻みで組むと続かない

シンプルな方法だけに、教科書どおりに真似ると平日で空回りします。原因は、埋めすぎです。

紹介されがちなのは、朝から晩まで15分単位で全部を予定で埋める、隙のない1日です。

ところが日本の平日は、急な会議・電話・上司からの差し込みで、簡単に1つずれます。分刻みで組んだ1日は、最初の予定がずれた時点で、後ろが全部ずれる。

そして「もう崩れたから今日は無理だ」と、その日ごと投げ出してしまう。きっちり組むほど、崩れたときの脱力が大きくなります。

だから、全部は埋めません。

守る枠は1日2〜3個に絞り、残りはあえて空けておく。空白は、割り込みを受け止めるための余白です。1つ崩れても、ほかの枠は生き残ります。

カレンダーアプリで枠を置く

道具は、いま使っているカレンダーで十分です。

代表的なのは Google カレンダーと TimeTree です。どちらも日本の App Store・Google Play にあり、日本語表示で、無料の範囲だけでも使えます。

仕事とプライベートを1つで見たいなら Google カレンダー、家族やチームと予定を共有したいなら TimeTree。その程度の選び方でかまいません。

手順は4つです。

まず、明日の予定を開き、いちばんやりたい作業を1つだけ枠にして置きます。長さは30〜60分から。

次に、その枠に会議と同じ色をつけます。色をそろえるだけで、脳はそれを「動かせない予定」として扱いやすくなります。

さらに、開始5分前に通知(リマインダー)が鳴るようにします。枠が来たことに気づけないと、置いた意味がありません。

最後に、枠は1日3つまで。増やしたくなっても、そこで止めます。

同じ平日を2つ並べた図。左『予定は会議だけ』は会議2件のあいだが空白で、そこは割り込みに流されると示す。右『作業も予定として置く』は同じ1日を集中作業・会議・昼休み・連絡・予備の枠で区切り、集中の時間が予定として確保されている
図: 空白を空白のままにせず、集中の時間にも場所を与える(当サイト作成)

見てのとおり、違いは「自分の作業に、予定としての場所があるか」だけです。

枠を置くきっかけをうまく作れないときは、行動を合図に結びつける「いつ・どこで」を決めるコツも合わせると置きやすくなります。

崩れた日と、向いていない人

置いた枠は、当然、守れない日があります。

そのとき、枠を消さないでください。守れなかった枠は、翌日の空いた場所へずらして置き直すだけにします。消すと、予定表から自分の時間がまた消えます。

評価も、やさしくします。守れた枠の数だけを、夕方に1分で数える。ゼロでなければ十分です。

枠がいつも埋まりきらないなら、長さを25分まで短くします。60分は、崩れた日には重すぎます。

そして、この方法が向かない場面もあります。

1日の予定が、ほぼ完全に他人の都合で動く働き方——電話対応が主で、自分で時間を区切る余地がほとんどない職種では、枠は守りきれません。

その場合は、1日1枠だけにします。確実に自分の裁量になる時間帯(始業直後の15分など)を1つ選び、そこだけを守る。全部をあきらめる必要はありません。

道具選びのその先はアプリ活用の歩き方、続ける仕組みそのものは習慣化の歩き方でもまとめています。

タイムブロッキングは、意志を強くする方法ではありません。予定表という他人と共有する場所に、自分の時間の居場所を先に確保しておく段取りです。

まずは明日の予定に、集中したい作業を1つだけ、枠にして置くところから試してみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 明日の予定を開き、まず「集中したい作業」を1つだけ、時間の枠として置く(30〜60分)
  2. その枠に会議と同じ色をつけ、他人の予定と同じ「動かさない約束」として扱う
  3. 置く枠は1日3つまでにして、残りは空けておく(崩れたときの逃げ場にする)
  4. 夕方に1分だけ、枠を守れたか見て、守れなかった枠は明日にずらして置き直す

出典・参考

  1. Aeon, B., Faber, A. & Panteli, A. (2021) Does time management work? A meta-analysis. PLOS ONE, 16(1), e0245066.journals.plos.org
  2. 同論文 全文(PMC / PubMed Central)pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Google カレンダー(日本 App Store・無料/日本語対応の確認)apps.apple.com
  4. TimeTree タイムツリー(日本 App Store・無料/日本語対応の確認)apps.apple.com

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。