夜中に何度も目が覚めるのは、夕方のコーヒーかもしれない——カフェインの「門限」の決め方
Health / Research Digest

夜中に何度も目が覚めるのは、夕方のコーヒーかもしれない——カフェインの「門限」の決め方

布団に入っても寝つけず、夜中に目が覚める。原因のひとつは、体に残ったカフェインかもしれません。就寝6時間前でも睡眠が削られたという研究をもとに、緑茶やエナジードリンクも含めた「カフェインの門限」の決め方を、限界と注意点を添えてまとめました。

布団に入っても、目がさえて寝つけない。やっと眠っても、夜中に何度も目が覚める。

昼間はそんなに飲んでいないつもりなのに、と思う夜もあるはずです。

でも、思い返してみてください。夕方の一杯や、残業前のエナジードリンクは、なかったでしょうか。

その眠れなさは、性格でも意志の弱さでもなく、体にまだ残っているカフェインのせいかもしれません。

就寝6時間前のカフェインでも、睡眠は削られていた

手がかりになる研究があります。2013年に睡眠の専門誌で報告されたものです。

健康な人12人に、400mgのカフェイン(コーヒーにするとおよそ4杯分)を、就寝の0時間前・3時間前・6時間前に飲んでもらいました。本人にも実験者にも中身が分からない、偽薬と比べる方式です。

結果、就寝6時間前に飲んだ夜でも、眠っていた時間が平均で41分ほど短くなりました。就寝の6時間も前なのに、です。

ここから著者は「寝る少なくとも6時間前からは、まとまった量のカフェインを控える」ことを勧めています。

ただし、これは12人という小さな研究です。対象は健康な若〜中年で、血液中のカフェイン量も測っていません。数字はそのまま万人に当てはまるものではなく、「そういう傾向が出た」として受け取るのが妥当です。

なぜ6時間前でも残るのか。カギは「半減期」です。ある公的な総説によると、カフェインが体内で半分に減るまでの時間は、健康な成人でおよそ5時間とされています。

下の図が、飲んだあとカフェインが減っていくおおまかな様子です。

横軸に飲んでからの経過時間、縦軸に体に残るカフェインの割合をとった減衰カーブの模式図。半減期を約5時間とすると、5時間後に約50%、6時間後でもまだ約4割が残り、ゆるやかに減っていく様子を示している
図1: カフェインは約5時間で半分。6時間たってもまだ4割ほど残る(当サイト作成・半減期およそ5時間として模式化)

見てのとおり、減り方はゆるやかです。だから夕方に飲むと、寝るころにもまだ働きが残ります。

さらに、この半減期には大きな個人差があります。同じ総説では、体質や環境で1.5〜9.5時間まで幅が出ると報告されています。ピルを使う人では倍近くに延び、喫煙者では短くなる、ともされています。同じ一杯でも、残り方は人それぞれです。

量の影響も見ておきましょう。2024年の別の研究(健康な男性23人)では、400mgは就寝12時間前から避けたほうがよい一方、100mg程度なら4時間前でも大きな影響は見られなかった、と報告されています。飲む「量」と「時刻」の両方が効く、ということです。

なお、カフェインへの感じ方には個人差が大きく、妊娠中の人や持病のある人はとくに慎重さが要ります。妊娠中のカフェインや、薬との組み合わせで不安があるときは、自己判断せず医師や薬剤師に相談してください。

コーヒーだけではない——緑茶・エナドリ・薬にも入っている

門限を考えるとき、見落としやすいのが「コーヒー以外」です。

農林水産省の資料では、100mlあたりのカフェイン量はコーヒーで約60mg、せん茶やウーロン茶で約20mgとされています。緑茶やほうじ茶にも、量は少なめでもカフェインは入っています。

見落としやすいのは、次のようなものです。

  • エナジードリンク・眠気覚まし飲料: 100mlあたり32〜300mgと幅が広い
  • 玉露などの濃いお茶: 淹れ方しだいでコーヒー並みになることもある
  • 眠気覚まし薬・一部の風邪薬や鎮痛薬: カフェインが配合されていることがある

とくにエナジードリンクは、製品ごとの差が大きい飲み物です。夕方以降に手に取るときは、缶やボトルの成分表示のmgを一度見ておくと、自分がどれだけ飲んでいるか分かります。

薬も同じです。夜に飲む風邪薬や鎮痛薬にカフェインが入っていると、寝つきに響くことがあります。夕方以降に市販薬を飲むなら、成分表示を確認し、迷ったら薬剤師にたずねてください。

今日から決める「カフェインの門限」

やることは、飲むのをやめる時刻を1つ決めるだけです。順番に進めます。

  1. 自分の就寝時刻を書き出す(例: 24時に寝る)
  2. そこから6時間さかのぼり、最初の門限にする(例: 18時以降はカフェインを控える)
  3. 寝つきが悪い日が続くなら、門限を1〜2時間早める(例: 16時まで)。寝つきに敏感な自覚があるなら、はじめから早めに設定する
  4. 午後は麦茶・ほうじ茶・カフェインレスコーヒー・水など、カフェインの少ない選択肢に置き換える

ポイントは、我慢ではなく「置き換え」で考えることです。午後の一杯を完全にやめるのではなく、カフェインの少ない飲み物にずらすだけなら続けやすくなります。

門限は一度で完璧にしなくてかまいません。まずは今日、夕方以降の一杯を1回だけ別の飲み物に替えてみてください。

眠りは時刻の乱れでも崩れます。寝起きのリズムを整える話は睡眠は「長さ」より「規則正しさ」に、午後の眠気を短い休息で立て直す方法は午後の短い昼寝の使い方にまとめました。体をいたわる小さな習慣は、健康の柱でも扱っています。

最後に、ひとつだけ。ここで紹介したのは研究から見えた傾向で、医療的なアドバイスではありません。門限を守っても眠れない夜が続くときや、日常に支障が出るほどつらいときは、ひとりで抱え込まず、医療機関に相談してみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 就寝時刻から逆算して「カフェインの門限」を1つ決める。まずは就寝6時間前を目安にする
  2. 午後は緑茶・ほうじ茶・麦茶など、カフェインの少ない飲み物に少しずつ切り替える
  3. エナジードリンクや眠気覚まし飲料は成分表示のmgを確認し、午後の本数を控える
  4. 風邪薬・鎮痛薬・眠気覚まし薬にもカフェインが入ることがある。夕方以降は成分表示を見る
  5. 門限を守っても寝つけない日が続くなら、自己流で抱えず医療機関に相談する

出典・参考

  1. Drake, C., Roehrs, T., Shambroom, J., & Roth, T. (2013) Caffeine Effects on Sleep Taken 0, 3, or 6 Hours before Going to Bed. Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11), 1195-1200.pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Institute of Medicine (2001) Pharmacology of Caffeine. In: Caffeine for the Sustainment of Mental Task Performance. National Academies Press (NCBI Bookshelf NBK223808).ncbi.nlm.nih.gov
  3. Gardiner, C., et al. (2024) Dose and timing effects of caffeine on subsequent sleep: a randomized clinical crossover trial. Sleep, zsae230.pmc.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。