目標が三日で消えるなら——WOOPで「願い」と「障害」を対で決める
Habits / 実践メソッド

目標が三日で消えるなら——WOOPで「願い」と「障害」を対で決める

「よし、やるぞ」と願った目標が、三日で忘れて動けなくなる。足りないのは強い意志ではなく、うまくいった姿と、じゃまする障害を対にして考える順番でした。願い→成果→障害→計画の4ステップを、平日で使える手順にまとめました。

「今年こそ資格を取る」「明日から毎朝走る」。そう願った日の熱は、三日もすると消えている。

意志が弱いからだ、と落ち込む必要はありません。

足りないのは、やる気ではありません。願いを「動ける形」に変える順番です。

WOOPとは、願いを行動に変える4つの順番

心理学者ガブリエレ・エッティンゲンがまとめたのが、WOOP(=願い・成果・障害・計画の頭文字)という方法です。

やることは4つだけ。願い(Wish)、かなった時の成果(Outcome)、じゃまする障害(Obstacle)、障害への計画(Plan)。この順で考えます。

土台にあるのは、メンタル・コントラスティング(=良い未来と、それをじゃまする現実を頭の中で対比させること)という発想です。

ポイントは、最後の「計画」を「もし〜なら、〜する」という一文にすることです。これはif-thenプランニングそのものです。

WOOPは、その if-then の“前”に、願いと障害を並べる工程を足したもの。そう考えてください。

「いいことだけ思い描く」と、逆に動けなくなる

多くの人は、願いと成果のところで止まります。

「合格した自分」「引き締まった体」を、うっとり思い描く。それで少し満足して、参考書は閉じたまま。

これは気のせいではありません。

エッティンゲンらは、4つの実験で確かめました。明るい未来を思い描いた人ほど、体の力が抜け、行動に使うエネルギーが下がっていた。そう報告されています。

理由はシンプルです。脳が「もう手に入った」と早合点して、満足してしまうからです。

だから、願いと成果だけで止めてはいけません。そこに「じゃまする障害」を並べて、対比させる。

下の図が、WOOPの4ステップの流れです。

WOOPの4ステップ 願望・成果・障害・計画の4つの箱が左から右へ矢印でつながり、まん中の成果と障害を対比の帯が囲む図 この順番で考える W 願望 かなえたい O 成果 手に入る良さ O 障害 心の中の壁 P 計画 もし〜なら 成果と障害を対比
図1: かなった姿と、じゃまする障害を対にして、最後に「もし〜なら」の計画で締める(当サイト作成)

図のまん中、成果と障害を対にするところが、動き出す仕掛けです。

4ステップを、平日サイズでやってみる

例として「平日の朝に30分、資格の勉強をする」で考えます。

紙かスマホのメモを開いて、上から順に書いてください。数分で終わります。

W(願い) かなえたい願いを1つだけ。「簿記に受かる」。欲張らず、少し頑張れば届く大きさにします。

O(成果) かなった時の一番よい場面を、30秒だけ思い描きます。「合格通知を見て、家族に報告する朝」。

O(障害) それをじゃまする“自分の中の”障害を1つ。「夜に疲れて帰ると、スマホを見て寝てしまう」。会社や家族のせいにしないのがコツです。

P(計画) 障害への手を「もし〜なら」で決めます。「もし夜スマホを触りたくなったら、先に参考書を1ページだけ開く」。

順番を飛ばさないこと。願い→成果→障害→計画の流れそのものが効いています。

動けないのは怠けではなく、たいてい感情の問題です。ここは先延ばしは「感情」の問題もあわせてどうぞ。

うまくいかないとき・向いていない人

書いたのに動けない時は、たいてい障害の置き方が外向きです。

「時間がない」「家族が協力してくれない」。外側の事情は、WOOPの障害には向きません。変えられるのは自分の側だけだからです。「疲れると逃げてしまう」のように、内側に言い換えてください。

願いが大きすぎるのも、つまずきの元です。「毎日2時間」ではなく「30分」から始めます。

そもそも、心から望んでいない目標には効きにくいことも分かっています。人に言われただけの目標なら、まず「これは自分がやりたいことか」を確かめるほうが先です。

習慣を仕組みに変える発想は、習慣の柱でまとめています。

願うだけで終わらせない。かなった姿の隣に、じゃまする現実を並べてみる。その一手間が、明日の朝、参考書を開く手を動かします。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. かなえたい願いを1つだけ選ぶ(資格・運動・早起きなど)
  2. かなった時の一番よい場面を、頭の中で30秒思い描く
  3. それをじゃまする「自分の中の障害」を1つ書き出す
  4. 「もし障害が出たら、こうする」を一文で決める
  5. この4つを、紙かスマホのメモにこの順番で書く

出典・参考

  1. Oettingen, G. (2012) Future thought and behaviour change. European Review of Social Psychology, 23(1), 1-63.bpb-us-e1.wpmucdn.com
  2. Kappes, H. B. & Oettingen, G. (2011) Positive fantasies about idealized futures sap energy. Journal of Experimental Social Psychology, 47(4), 719-729.eprints.lse.ac.uk
  3. WOOP my life(Gabriele Oettingen 監修・WOOPの手順)woopmylife.org

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。