寝る前に復習すると記憶が残る——一夜漬けより睡眠をはさむ
Learning / Research Digest

寝る前に復習すると記憶が残る——一夜漬けより睡眠をはさむ

試験前につい夜ふかしで詰め込む。でも覚えた内容は、起きて過ごすより眠りをはさむほうが残りやすいと報告されています。一夜漬けに頼らず、寝る前の復習を武器にする勉強の手順をまとめました。

試験が近い。覚えることは山ほどあって、つい夜ふかしで詰め込む。

眠る時間を削れば、その分だけ前に進むはず。そう思っていませんか。

でも、覚えた内容が頭に残るかどうかは、勉強のあとの眠りが握っています。

削るべきは、睡眠のほうではないかもしれません。

覚えたあとに眠ると、記憶が残りやすい

覚えた内容は、そのまま起きて過ごすより、眠りをはさむほうが残りやすい。眠っているあいだに記憶が定着する働きが関わると言われます。

これを調べたのが、2012年のペインらの研究です。大学生207人に単語のペアを覚えてもらい、時間をおいて成績を測りました。

12時間後の成績は、間に睡眠をはさんだ群で伸び、起きて過ごした群はほぼ横ばいでした(+6.6%対+0.8%・p=.009)。

さらに、覚えた直後に眠った条件はほぼ保たれ、16時間ほど起きてから眠った条件は下がりました(+0.7%対−6.5%・p=.02)。覚えてから眠るまでが短いほうが得だ、という結果です。

ただし限界もあります。これは脳波で眠りを記録しない行動実験で、対象は大学生でした。効き方は年齢などで変わる場合があると、著者も述べています。

別の研究でも、眠った日は思い出せた量が多かった

10〜14歳の40人に、耳で聞く単語のペアを覚えてもらった研究もあります。夜9時に覚えて眠り12時間後に思い出す群と、朝9時に覚えて起きたまま12時間後に思い出す群を比べました。

眠った群のほうが、思い出せた単語がおよそ20.6%多かったと報告されています(p<0.029)。

こちらも小さな研究で、対象は思春期の子どもです。実際の眠りは測っておらず、そのまま大人に当てはまるとは限りません。

2つの研究に共通するのは、覚えたあとに眠りをはさむと思い出せる量が保たれやすい、という傾向です。断定はできませんが、向きはそろっています。

下の図が、覚えたあとの過ごし方による違いです。

覚えたあとの過ごし方を左右に並べた模式図。左は「起きたまま過ごす」で、覚えたあと眠らずにテストを迎え、あとで思い出せた量をあらわす横棒は短い。右は「覚えたら眠る」で、覚えたあとに眠ってからテストを迎え、眠っているあいだに記憶が定着して、あとで思い出せた量をあらわす横棒は長い。大学生と思春期を対象にした研究にもとづく傾向の図で、数値の目盛りはつけていないと注記されている
図1: 覚えたあとに眠りをはさむと、思い出せる量が保たれやすい(当サイト作成)

見てのとおり、分かれ目は「覚えたあとに眠るか」です。同じ勉強でも、後ろに眠りがあるほうが残ります。

一夜漬けより、覚えたら眠るほうが得

資格試験、受験、社会人の学び直し。どれも「あと少し」で夜ふかしになりがちです。

でも、削った睡眠の分だけ、覚えたことがあいまいになりやすい。徹夜で詰め込んだ翌朝、頭がぼんやりして思い出せない。あの感覚には理由があります。

だから、順番を変えます。夜おそくまで新しい範囲を広げるより、いちばん覚えたい所を寝る直前に見直して、そのまま眠る。

覚えたことは、寝る前に触れた内容ほど残りやすい。眠りが記憶を仕分けする時間だと考えると、その直前に置くものが効いてきます。

まずは今夜、寝る前の5分を、明日いちばん使いたい知識の見直しにあててみてください。

今日から試す「覚えたら、早めに眠る」

道具はいりません。勉強と睡眠の順番を入れ替えるだけです。

  1. 覚えたい所を1つ決め、寝る直前に5分だけ見直す
  2. そこで新しい範囲を広げず、そのまま眠る(睡眠を削らない)
  3. 昼に学んだことも、その日のうちに軽く思い出しておく
  4. 翌朝、前夜に見た内容を白紙に思い出して確かめる

コツは、寝る前を「詰め込み」でなく「見直し」に使うこと。新しく増やすより、今日の分を定着させる時間だと考えます。

眠りは体質や生活で個人差があります。寝つけない日が続くときは、方法を足すより休むことを先にしてください。

寝る前に思い出す部分は、本を閉じて思い出す勉強法と重なります。日をあけて繰り返す設計は、間隔をあけて復習する学び方が効いてきます。学び方そのものは、学びの柱でまとめています。

今夜の分を、寝る前の5分で見直してから眠る。それだけで、明日の自分が思い出せる量は変わってきます。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 覚えたい内容は、寝る直前に5分だけ見直す
  2. 一夜漬けで睡眠を削らず、覚えたら早めに眠る
  3. 昼に学んだことも、その日のうちに軽く復習する
  4. 翌朝、前夜に覚えた内容を白紙に思い出して確かめる

出典・参考

  1. Payne, J. D., et al. (2012) Memory for Semantically Related and Unrelated Declarative Information: The Benefit of Sleep, the Cost of Wake. PLOS ONE, 7(3), e33079.journals.plos.org
  2. Potkin, K. T., & Bunney, W. E. Jr. (2012) Sleep Improves Memory: The Effect of Sleep on Long Term Memory in Early Adolescence. PLOS ONE, 7(8), e42191.journals.plos.org

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。