続かない習慣は「報告する相手」を決める——一人でがんばらない仕組み
Habits / Research Digest

続かない習慣は「報告する相手」を決める——一人でがんばらない仕組み

ジム通いも早起きも、一人だと三日で消えがち。研究では、目標を友人に週1回報告したグループほど達成度の自己評価が高く、一緒にやる相手ができた人は自己管理の力まで伸びていました。続けたい行動に「相手」を1人加えるコツをまとめました。

今日こそジムに行くつもりだった。そう決めたはずなのに、気づけば三日と経たずにやめている——そんな経験はないでしょうか。

「今日はいいか」を止めてくれる人が、そばにいないからかもしれません。

「意志が弱いから」でしょうか。実は、「一人でやっている」ことそのものが、続かない原因になっている場合があります。

研究では、続けたい行動に「相手」を1人加えるだけで、続く確率が変わっていました。

目標を「友人に報告」した人は、達成度が高かった

心理学者のゲイル・マシューズは、目標の達成について調べました。267人が参加し、4週間後まで続けた149人のデータを比べています。年齢も職業もさまざまな人たちです。

参加者は5つのグループに分かれます。目標を頭で思うだけの人から、書く人、行動の予定まで決める人、それを友人に送る人、毎週の進み具合まで報告する人へと、条件を1段ずつ増やしました。

4週間後、それぞれが目標をどこまで進められたかを、10点満点で自己評価します。

頭で思うだけのグループは、平均で約4.3点でした。一方、書いて友人に送り、毎週報告までしたグループは、約7.6点まで上がっています。

ただし、これは本人の自己評価です。目標も各自が選んだばらばらのもので、全員が同じ課題に取り組んだわけではありません。報告のほかに「書く」「予定を決める」といった違いも重なっているので、報告だけの効果とは言い切れません。

数字はあくまで一例として受け取ってください。それでも、頭の中で思うだけより、相手に送って毎週報告するほうが、達成度の自己評価がはっきり高かった点は、覚えておく価値があります。

下の図が、頭で思うだけのグループと、友人に報告したグループの達成度の違いです。

目標の達成度を2本の横棒で比べた図。頭で思うだけのグループは10点満点の自己評価で平均約4.3点。書いて行動を決め、友人に週1回報告したグループは約7.6点。報告する相手がいた人ほど達成度が高かったことを示す。自己評価による研究の一例で、個人差がある
図1: 条件を1段ずつ増やした5グループの両端。達成度は10点満点の自己評価の平均(当サイト作成、Matthews 2015 を基に構成)

頭で思うだけのグループと、書いて毎週報告したグループ。その達成度の平均に、これだけ差がついています。

一緒にやる相棒がいると、自己管理まで伸びた

「報告する」だけでなく、「一緒にやる」相手も効きます。

ラッコウらは2015年、運動の習慣について8週間の調査をしました。参加者を2つに分け、一方には新しく一緒に運動する相手を見つけてもらいます。

すると、一緒に運動する相手ができた人たちの中で、変化が見えました。相手からの心の支え(励ましや共感)を強く感じている人ほど、「自分ならできる」という手応え、記録をつける習慣、いつ運動するかを決める計画づくりが伸びていたのです。

これらは、行動を続けるための土台になる力です。一緒にやる相手がいて支えを感じられると、この土台が育ちやすくなる、ということです。

ただし、これは8週間の調査で、効果は「支えを感じたこと」を通した間接的なものです。相手さえいれば必ず続く、という保証ではない点は押さえておいてください。

なぜ「相手」がいると続くのか

相手がいると続く理由は、2つ考えられます。

まず、逃げ道が減ります。「今日はやめておこう」と思っても、報告する相手がいれば、サボりが自分だけの秘密で終わりません。

うまくいかない日も「まあ、また明日」と受け止めてくれる相手がいると助けになります。1回の失敗で、そのままやめずにすみます。

どちらも「意志の強さ」には関係ありません。相手が1人いるだけで、自分の意志だけに頼らずにすみます。

ひとつだけ、頼み方にコツがあります。「すごいね」と褒めてもらうだけだと、もうやった気になって満足し、かえって手が止まることがあります。

頼むのは、褒めてもらうことではなく、見ていてもらうことです。「進み具合を見ていて」と伝えます。この落とし穴については、別の記事目標は人に言うと叶う、とは限らないで詳しく書いています。

通勤でも在宅でも使える、相手のつくり方

会社勤めなら、同じ目標の同僚と「金曜に一言だけ報告し合う」約束をする。チャットで「今週3回歩いた」と送るだけで十分です。

在宅が中心なら、家族やオンラインの学習グループに、週末の報告を決めておく。顔を合わせなくても、報告する相手がいれば効果があります。

一緒にやる相手は、朝の散歩仲間や、各自が黙々と作業する「もくもく会」の参加者、同じ資格を目指す人などが見つかります。時間を合わせて始めると、一人よりサボりにくくなります。

相手が見つからないときは、記録アプリの共有機能や、続けている人が集まるグループに報告先を置く手もあります。

今日から試す、相手の決め方

道具はいりません。順番に試せます。

  1. 続けたい習慣を1つ選ぶ(あれこれ同時に始めない)
  2. 報告する相手を1人決める(友人・同僚・家族・オンラインの仲間)
  3. 相手には「進み具合を見ていて」と頼む(応援だけでは弱い)
  4. 週1回、やった回数を短く報告する曜日を決める
  5. できれば、一緒にやる相手も探す

一人で抱えず仕組みで支える考え方は、習慣についてまとめたページで紹介しています。約束に逃げ道をなくす方法はコミットメント装置の記事、すでにある行動にくっつけて始める方法は習慣スタッキングの記事が参考になります。

まずは今日、続けたい習慣を1つ選んで、報告する相手にひとこと声をかけてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 続けたい習慣を1つ選び、報告する相手を1人決める
  2. 相手には「進み具合を確認して」と頼む(応援だけでは効果が薄い)
  3. 週1回、やった回数を短く報告する曜日を決める
  4. できれば、一緒にやる相手も探す(散歩・勉強など)
  5. 相手がいなければ、記録アプリの共有やグループに報告する

出典・参考

  1. Matthews, G. (2015) The Impact of Commitment, Accountability, and Written Goals on Goal Achievement. Dominican University of California(研究発表・267人募集/149人完了・毎週報告した群の達成度は10点満点で平均7.6点)scholar.dominican.edu
  2. Rackow, P., Scholz, U., & Hornung, R. (2015) Received social support and exercising: An intervention study to test the enabling hypothesis. British Journal of Health Psychology, 20(4), 763-776.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。