週末の寝だめで睡眠不足は取り戻せない——平日の眠りが代謝を左右する
平日は残業で睡眠を削り、週末に昼まで寝て取り返す。そんな眠り方をしていませんか。でも週末の寝だめでは、平日の睡眠不足は戻りきりません。代謝や食欲の乱れも消えないという研究をもとに、寝だめ頼みをやめて平日の眠りを守る、現実的なコツをまとめました。
平日は残業で、眠るのは5〜6時間。
その借りを、週末にまとめて返す。土日は昼まで寝る——。
心当たりがあっても、月曜の体はなんとなく重い。じつは週末の寝だめでは、平日の不足は戻りきりません。
週末2日では取り返せない
手がかりになるのが、睡眠不足と週末の回復睡眠を調べた研究です。
デプナーらは、健康な成人36人を3つのグループに分けて比べました。平日に5時間しか眠らない人、9時間眠れる人、そして平日は5時間で週末だけ自由に寝だめする人です。
分かったことは、はっきりしています。週末に寝だめをしても、インスリンの効き(血糖の処理)は下がったままでした。夕食後の食べすぎや体重の増加も、寝だめなしのグループと同じように起きています。
つまり週末の回復睡眠は、平日の睡眠不足がもたらす体の乱れを、防ぎきれませんでした。
なぜ2日では足りないのか。別の研究(キタムラら)が、目安になる数字を出しています。
健康な男性15人に、たっぷり眠れる環境で寝てもらいました。すると体が本当に求める眠りは平均で約8.4時間。ふだんの睡眠(約7.4時間)より、1時間ほど長いと分かりました。
しかもこの研究の推定では、わずか1時間ぶんの睡眠の借りを戻すのに約4日かかります。平日にたまった不足を、週末の2日だけで返すのは難しい計算です。
どちらも人数は多くなく(36人と15人)、対象は若い世代が中心の短期研究です。眠りの必要量には個人差もあります。だから断定ではなく、傾向として受け取ってください。
下の図が、2つの眠り方の違いです。
見てのとおり、平日を削って週末に取り返す形では、負債がゼロに戻りません。
平日の眠りが土台になる
問題は、「平日は削っても週末で取り返せる」という前提です。
残業や夜のスマホで平日の睡眠を後回しにし、その埋め合わせを土日に期待する。この形だと、体の借りは返しきれないまま次の週へ持ち越されます。
似た工夫に「寝る時刻をそろえる」があります。ただ今回は、そろえる以前に、平日の総量が足りているかが先です。
まず今週は、週末の寝だめをあてにする前に、平日の睡眠そのものを見直してみてください。
今日から試す手順
ゼロか百かではなく、平日の眠りを少しずつ戻すのが現実的です。
- 今夜、就寝を15分早める(毎日続けて平日の総量を増やす)
- 週末の寝だめは2時間までを目安にし、昼まで寝ない
- 起きる時刻は、平日と週末で2時間以上ずらさない
- 眠気が抜けないときは、数日かけて戻す(1晩で取り返そうとしない)
夜の強い光を落とすと、寝つきが整います。手順は寝る前のスマホと光の整え方にまとめました。
寝る時刻をそろえる工夫は睡眠のリズムを整えるが参考になります。
体の整え方は健康の柱でもまとめています。
眠気や不調が続くときは
最後に、ひとつだけ。
平日の睡眠を整えても、強い眠気や、体調のすぐれない日が何週間も続くときは、生活の工夫だけで抱え込まないでください。背景に睡眠や体の不調が隠れていることもあります。気になるときは、早めに医療機関や専門家に相談してください。
今週はまず、週末の寝だめをあてにせず、平日の就寝を15分早めることから始めてみてください。
Try Today今日からやるチェックリスト
- 平日の睡眠を最優先に。まず就寝を15分早める
- 週末の寝だめは2時間までを目安に。昼まで寝ない
- 起きる時刻は平日と週末で2時間以上ずらさない
- 眠気が続くなら数日かけて戻す。1晩で取り返さない
- 強い眠気や不調が続くときは医療機関に相談する
出典・参考
- Depner, C. M., et al. (2019) Ad libitum Weekend Recovery Sleep Fails to Prevent Metabolic Dysregulation during a Repeating Pattern of Insufficient Sleep and Weekend Recovery Sleep. Current Biology, 29(6), 957-967.pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Kitamura, S., et al. (2016) Estimating individual optimal sleep duration and potential sleep debt. Scientific Reports, 6, 35812.pmc.ncbi.nlm.nih.gov
この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。