答え合わせは、すぐでなくていい——少し後の丸つけが記憶に残りやすい
Learning / Research Digest

答え合わせは、すぐでなくていい——少し後の丸つけが記憶に残りやすい

問題を解いたら、その場で丸つけしていませんか。大学生40人の実験では、答え合わせを1日おいた人のほうが、1週間後のテストで正答が多く残っていました。すぐ答えを見なくても学びは落ちない、という研究を限界も添えてまとめました。

過去問や問題集を1問解く。すぐ答えを見て、「あ、間違えた」。丸をつけて、次の問題へ。

たいていの人が、この「解いたらすぐ答え合わせ」を当たり前だと思っています。

でも、その場で丸をつけるのが、いちばん記憶に残るやり方とは限りません。

すぐ答えを見なくても、学びはむしろ深くなることがあります。

答え合わせを1日おいた人のほうが、1週間後に残っていた

手がかりになるのが、ワシントン大学のバトラーらが2007年に発表した研究です。掲載誌は Journal of Experimental Psychology: Applied でした。

参加者は大学生。短い文章をいくつか読み、そのあと選択式のテストを受けました。

ポイントは、答え合わせ(正解の提示)のタイミングです。ある問題はその場ですぐ、別の問題は少し時間をおいてから、正解を見せています。

そして数日後に、もう一度テストをしました。

結果はこうです。参加者40人の実験では、答え合わせを1日おいた問題のほうが、1週間後のテストでよく解けていました。正答割合は70%対60%。すぐ答えを見た側が下でした。

別の48人の実験でも、同じ向きの差が出ています。

下の図が、その差です。

1週間後のテストでの正答割合を、答え合わせのタイミング別に比べた棒グラフ。すぐ答え合わせをした群は60%、1日おいて答え合わせをした群は70%で、少し後に答え合わせをした側のほうが正答割合が高かったことを示す
図1: 答え合わせを1日おいた側のほうが、1週間後の正答が高かった(当サイト作成・Butlerら2007の値を図示)

見てのとおり、すぐ丸をつけた側が上ではありません。少し待ってから答えを見た側のほうが、あとに残っていました。

ただし、これは大学生が実験室で短い文章を覚えたときの結果です。1週間という区切りで測っています。あなたの実際の勉強や、複雑な内容にそのまま同じだけ当てはまるとは限りません。

効いていたのは「遅らせること」より「間をあけて触れ直すこと」

もう一つ、コロンビア大学のメトカーフらが2009年に報告した研究があります。掲載誌は Memory & Cognition です。

小学6年生27人と、大学生20人が、それぞれ単語の意味を覚えました。答え合わせは「すぐ」「少し後」「なし」の3通りです。

子どもでは、はっきり差が出ました。少し後・すぐ・なし、の順で成績が良かったのです。

大人では、少し違いました。答えを見るまでの間隔をそろえると、「すぐ」と「少し後」の差は消えます。それでも、どちらも「答え合わせなし」よりは良い結果でした。

ここが大事な点です。効いていたのは「遅らせること」そのものより、正解にもう一度、間をあけて触れ直すことでした。

そして、答え合わせを「しない」のが、いつも成績の最下位でした。

テスト勉強や資格の勉強で、どう使うか

やることは、答え合わせの「間」を少しあけるだけです。

過去問を1問ごとに丸つけしていた人なら、まず1セットを最後まで解く。5問でも10問でもかまいません。丸つけは、解き終わってから一気にやります。

これだけで、解いてから正解を見るまでに、自然と間ができます。

余裕があれば、もう一歩。今日解いた分の丸つけを、あえて翌朝に回します。前日の問題を朝の5分で答え合わせすると、正解にもう一度、間をあけて触れ直すことになります。

単語帳や暗記アプリも同じです。1枚めくるたびに裏を見るより、表だけで1周してから、まとめて答えを確認します。

そもそも「解く・思い出す」こと自体が記憶を作ります。その話は思い出す練習が記憶に残るにまとめました。間をあけて触れ直すのが効くのは、間隔をあけて学ぶと同じ理屈です。

今日から試す「答え合わせを、少しあとにする」

  1. 問題を解くとき、1問ごとに答えを見ず、5〜10問を1セットとして最後まで解く
  2. 1セット解き終わったら、まとめて丸つけをする
  3. 余裕があれば、今日の丸つけを翌朝に回してみる(前日分を朝の5分で確認)
  4. 答えを見たら、正解を書く・声に出すなど、一手間かけて受け取る
  5. ただし「後で」で終わらせない。その日のうちか翌日には、必ず確認する

コツは、丸つけを「作業」から「もう1回の勉強」に変えることです。答えを見る一瞬を、2度目の学びにする。

うまくいかないとき・向いていない場面

すぐの答え合わせが向く場面もあります。覚えたての内容や、勘違いしたまま進むと後が危ないところは、早めに正しておくほうが安全です。メトカーフらの研究でも、子どもはむしろ「答え合わせをする」こと自体の効果が大きく出ていました。

自信たっぷりに間違えた問題も、放置は禁物です。早めに正解を確かめて、勘違いを上書きしてください。この点は間違えた問題ほど記憶に残るでも扱っています。

いちばんもったいないのは、答え合わせを遅らせたつもりで、そのまま見ないことです。研究で最下位だったのは、いつも「答え合わせなし」でした。遅らせるのは、必ず後で戻ってこられる人の作戦です。

それから、ここで扱ったのは短い文章や単語を覚える話です。手を動かして身につける技能や、その場の判断が要る作業は、また別だと考えてください。効き方には個人差もあります。合わなければ、間のあけ方を自分で調整してください。

学びを仕組みで支える発想は、学びを深めるでもまとめています。まずは次の問題集から、丸つけを1セット分だけ後ろにずらす。そこから始めてみてください。

Try Today今日からやるチェックリスト

  1. 問題は1問ごとに答えを見ず、5〜10問を1セットで最後まで解く
  2. 1セット解き終わってから、まとめて丸つけをする
  3. 余裕があれば、今日の丸つけを翌朝の5分に回す
  4. 答えを見たら、正解を書く・声に出すなど一手間かけて受け取る
  5. ただし「後で」で終わらせない。その日か翌日には必ず確認する

出典・参考

  1. Butler, A. C., Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. III (2007) The effect of type and timing of feedback on learning from multiple-choice tests. Journal of Experimental Psychology: Applied, 13(4), 273-281.(大学生48人・40人の2実験。短い文章を読み選択式テスト→即時 or 遅延の答え合わせ→1日/1週間後に再テスト。遅延群のほうが最終テストの正答が高かった)learninglab.psych.purdue.edu
  2. Metcalfe, J., Kornell, N., & Finn, B. (2009) Delayed versus immediate feedback in children's and adults' vocabulary learning. Memory & Cognition, 37(8), 1077-1087.(小6・27人と大学生20人の単語学習。答え合わせは即時/遅延/なしの3条件。答え合わせなしが常に最下位で、間隔をあけて正解に触れ直すことが効いた)web.williams.edu

この記事は、上記の研究をもとに構成しています。 引用・要約は必要最小限とし、詳細は原典をご確認ください。